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カンボジアの「シアムリアップ上水道整備計画(詳細設計)」ほか1件に対する無償資金協力について

平成16年1月20日

  1. わが国政府は、カンボジア王国政府に対し、「シアムリアップ上水道整備計画(詳細設計)」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として総額2億2,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月20日(火)、プノンペンにおいて、わが方高橋文明在カンボジア大使と先方ハオ・ナムホン上級大臣兼外務国際協力大臣(Mr.Hor Namhong, Senior Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。

    (1) 「シアムリアップ上水道整備計画(詳細設計)」
    (the project for Improvement of Water Supply System in Siem Reap Town)
    7,400万円
    (2) 「人材育成奨学計画」
    (the project for Human Resource Development Scholarship)
    1億5,300万円


  2. (1)「シアムリアップ上水道整備計画(詳細設計)」

     カンボジアにおいては、安全で衛生的な水の給水率は30%に留まるなど、未だに多くの住民が浅井戸、河川・湖沼水を無処理で飲用していることが下痢などの水因性疾病の原因となっており、「第二次社会経済5ヵ年開発計画(2001-2005)」においても、水・衛生セクターでは2005年までに給水率を地方部で40%、都市部で87%に向上させることが国家目標とされている。
     シアムリアップ市は、世界的に有名なアンコール遺跡群の南5kmに位置し、アンコール遺跡を訪れる外国人観光客は年々増加している一方で、都市インフラは脆弱で整備が遅れており、特に上水道施設は老朽化等のため約3,000人(給水率約10%)に対してしか水を供給することができない状況にある。また、シアムリアップ市住民の多くは浅井戸を利用しているが、汚染した水を使用せざるを得ず、下痢等の水因性疾病が絶えないなど衛生上の問題をもたらしている。
     このような状況の下、カンボジア政府は、シアムリアップ市の上水道施設の整備を行うことを目的として「シアムリアップ上水道整備計画」を策定し、この計画の詳細設計に必要な資金の供与につき、わが国に対し無償資金協力を要請したものである。
     この計画の実施により、シアムリアップ市民約2万6,000人に対し安全で衛生的な水の供給が可能となり、水因性疾病の罹患率低下が図られるとともに、ホテル等にも衛生的な水が供給されることにより観光産業の発展、住民の経済的基盤の安定に寄与することが期待される。

    (2)「人材育成奨学計画」

     カンボジアでは、1970年代から約20年間にわたる内戦により多くの人材を喪失し、戦後の復興・開発の中核を担う行政機関等においては、有望な人材の確保が困難となっており、同国における近年の市場経済化、近代化等への対応が必ずしも十分に行えない状況にある。また、初等・中等教育における教員教育および教科書・指導教材の不足が問題となっている。このような状況の下、カンボジア政府は人材育成において留学制度が果たす重要な役割を考慮し、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。なお、この計画は、カンボジアの将来を担う若手行政官等約40名を対象に、日本の大学院における学位取得等を前提とした留学に対して経費を支援するものである。この計画の実施により育成される人材が、各分野のリーダーとして、カンボジアが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・カンボジア両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。

    (参考)カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,220万人、国民1人あたりのGNP(国民総生産)は約260ドルである。
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