
東ティモール民主共和国の「母子保健改善計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成15年12月18日
- わが国政府は、東ティモール民主共和国における「母子保健改善計画」(The Project for Improving Maternal and Child Health Care in the Democratic Republic of Timor-Leste)の実施に資することを目的として、ユニセフ(国際児童基金)に対し、1億6,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月18日(木)、ディリにおいて、わが方旭英昭東ティモール臨時代理大使と先方ワティニー・ジャジャトゥルーン ユニセフ東ティモール事務所所長代行(Vathinee Jitjaturunt, Officer in Charge, United Nations Children's Fund, Democratiic Republic of Timor-Leste)との間で行われた。
- 東ティモールでは1999年8月30日のインドネシアによる拡大自治提案の受入れの可否を問う直接投票の結果を不満とする勢力による破壊・暴力行為によって、大部分のインフラが破壊され、それまで国家の中枢を占めていた指導者層、技術者層が海外に流出し、深刻な人材不足に見舞われた。医療分野においても大部分の施設が破壊され、医師等が流出した結果、医療機関の機能が麻痺した。
2002年5月に独立した東ティモール民主共和国政府は国家開発計画に従い医療・保健分野を重点分野として国家運営を行っているが、同国は人材不足も著しく、ユニセフとも協力し、国際社会の支援を受けつつ、自立を図る計画である。また、ユニセフもWHO(世界保健機関)や他の支援国とともに、保健省を支援することとしている。
このような状況の下、東ティモール政府およびユニセフは6種のワクチン(結核、三種混合、麻疹、破傷風)接種率80%の達成、ポリオの撲滅、母子の医療環境の向上を図るための基礎医療器材、基礎医薬品の供給、地方レベルにおける感染症の基礎検査のための機材の供与、国立助産師学校への機材の供与、保健衛生・健康促進のためのキャンペーンの実施による子どもや妊産婦が安心して暮らせる環境の創造を目的とした「母子保健改善計画」を策定し、この計画の実施のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、予防接種体制等が整備されるとともに、県、郡レベルの各施設における基礎検査を含む乳幼児・妊産婦を対象とする保健医療サービスが向上し、乳幼児死亡率および妊産婦・新生児死亡率が低下すること、また、国立助産師学校における人材育成が実施され、保健衛生・健康促進啓蒙活動が実施されることにより、子どもや妊産婦が安心して暮らせる環境が創造されることが期待される。
- なお、今回の無償資金協力は、平成14年5月の東ティモール支援国会合においてわが国が表明した今後3年間で6,000万ドルを上限とする対東ティモール支援の一環として実施されるものである。
(参考)東ティモール(面積:約1万4,000平方キロ(長野県程度)、人口:約79万人(2001年)、1人当たりのGNI(国民総所得):約450米ドル(2001 年))