
アフガニスタンの「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成15年12月18日
- わが国政府は、アフガニスタンの「小児感染症予防計画」の実施に資することを目的として、ユニセフ(国際連合児童基金)に対し5億4,000万円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月18日(木)、カブールにおいて、わが方駒野欽一在アフガニスタン大使と先方シャラッド・サプラ・ユニセフ代表(Dr. Sharad SAPRA, Representative, UNICEF Office in Afghanistan)との間で行われた。
- アフガニスタンでは、4人に1人の子供が5歳までに死亡するなど、乳幼児死亡率が極めて高いため、子供の死因の上位を占める感染症対策が急務となっている。そのうちポリオは、ポリオ発生数が多いパキスタン、インド、バングラデシュと近接すること、また依然ポリオ感染が確認されていることから、ユニセフおよびWHO(世界保健機関)のポリオ撲滅重点国となっている。また、麻疹、破傷風、BCGなどに対する通常の予防接種活動は、施設、機材、道路などの基礎インフラの未整備、ワクチン接種活動員の不足から十分な活動が行えない状況にある。
このような中、ユニセフはアフガニスタン保健省とともに感染症の予防対策を進め、わが国も2002年から2回にわたり無償資金協力を実施し、その活動を支援している。ポリオについては、2001年から本年にかけて5歳以下の子供600万人以上に予防接種を行ったため、確認されたケースは27件(2000年)から10件(2002年)と減少した。また、破傷風、BCG、麻疹などの6種の感染症予防については、本年夏までに全国で720の予防接種センターを設置、1,400人の予防接種活動員を育成するなど、ワクチン接種率を65%まで高める目標を掲げ予防接種活動を継続している。
このような状況の下、アフガニスタン移行政権およびユニセフは、ポリオおよびその他の感染症対策をさらに推進するため「小児感染症予防計画」を策定し、この計画の実施のために必要なポリオ、破傷風などのワクチン、注射器などの購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、2001年から低減しているポリオの発生をさらに抑制するだけでなく、周辺国間の感染の輸出入を防ぎ南西アジア地域のポリオ撲滅に貢献するとともに、6種の感染症に対する1歳未満の乳児のワクチン接種率65%という目標達成に貢献することが期待される。
- なお、今回の無償資金協力は、アフガニスタン復興支援国際会議において、わが国が表明した今後2年6ヶ月で最大5億ドルまでの復興支援の一環として実施するものである。これによりわが国の復興支援は約4億7,700万ドルを実施または決定したことになり、2001年の米国同時多発テロ事件以降、人道支援と合せて、約6億0,400万ドルを実施または決定したことになる。