
ベトナムの「ミーソン遺跡保存環境整備計画」に対する文化遺産無償について
平成15年12月17日
- わが国政府は、ベトナム社会主義共和国に対し、「ミーソン遺跡保存環境整備計画(the project for Improvement of the Surrounding Area of My Son Sanctuary )、の実施に資することを目的として、2億9,300万円を限度とする額の文化遺産無償を行うこととし、このための書簡の交換が、12 月17日(水)、ハノイにおいて、わが方服部則夫在ベトナム大使と先方ファン・クァン・ギ文化情報大臣(Mr. Pham Quang Nghi, Minister of Culture and Information)との間で行われた。
- ミーソン遺跡は、2世紀から15世紀までベトナム中部から南部にかけて興隆したチャンパ王国の聖地として、ヒンドゥー文化圏の影響を受けて造営された宗教遺跡群である。同遺跡は煉瓦や砂岩作りの寺院や塔などの建造物で構成されており、優れた芸術作品としてだけでなく、当時の東南アジア各地との文化交流史を伝える貴重な遺跡として名高い。特に1999年にはユネスコ世界遺産に登録され、年間7万人を超える見学者が訪れている。しかしながら、風化やベトナム戦争による被害により、同遺跡および遺物は崩壊と消失の危機に晒されているほか同遺跡には見学者に対する遺跡の紹介や情報提供を行う施設がないことから、貴重な文化遺産を国内外に普及・啓蒙することができない。
このような状況の下、ベトナム政府は、展示棟(遺物収蔵保管機能を有するもの)、管理棟の建設および展示・研究・管理用機材購入のために必要な資金につきわが国政府に対し文化遺産無償協力を要請してきたものである。