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エチオピアの「第二次遠隔地教育機材計画」に対する無償資金協力について

平成15年11月18日

  1. わが国政府は、エチオピア連邦民主共和国政府に対し、「第二次遠隔地教育機材計画」(the Project for Consolidation of Educational Television and Radio Recording Studios, Phase II) の実施に資することを目的として、1億9,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、11月18日(火)、アディスアベバにおいて、わが方泉堅二郎在エチオピア大使と先方ムル・ケツェラ財務経済開発担当国務大臣(Dr. Mulu Ketsela, State Minister of Finance and Economic Development)との間で行われた。

  2. エチオピアの遠隔教育は、教材や教師が量的にも質的にも不十分な状況での教育環境を側面支援し、また地域間較差を是正するための有効手段として実施してきており、特に教育番組は英語を教授言語として、全国統一プログラムを制作・放送してきた。このような中、同国では、5ヵ年教育セクター開発計画(ESDP)において、初等教育を各地方で独自に選択した地方語によって行うこと、生活環境との関連性を重視した「カリキュラムの地方化」を進めること等の地方分権化を打ち出しており、これに併せ遠隔教育放送についても、各州教育局を実施主体として、各州のカリキュラムに基づくその地方の言語を使用した番組の放送が必要となっている。
     しかしながら、州レベルでのラジオ・テレビ番組制作用スタジオの整備が遅れており、教育省メディア庁本部には、全国統一プログラムを制作するためのスタジオがあるが、現有機材は80年代中頃に購入されたものがほとんどであり、老朽化により作業効率の低下が問題となっている。
     このような状況の下、エチオピア政府は、「第二次遠隔地教育機材計画」を策定し、教育局が準備した、ラジオスタジオ(8ヵ所)およびテレビスタジオ(2ヵ所)にそれぞれラジオ番組制作機材、テレビ番組制作機材の整備に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力を要請したものである。

  3. なお、2001年度に実施した第1次計画では、3サイトの機材整備を実施しており、今回の第2次計画では、残るラジオスタジオ(6ヵ所)およびテレビスタジオ(1ヵ所)にそれぞれラジオ番組制作機材、テレビ番組制作機材を整備され、エチオピア全国をカバーできる遠隔地教育システムが確立することが期待される。

  4. この計画は、教育への投資が、途上国の貧困を削減し、経済成長を促進する有効な手段であるとの認識から、わが国が今後の基礎教育分野での支援のあり方として平成14年6月に発表した「成長のための基礎教育支援イニシアティブ(BEGIN: Basic Education for Growth Initiative)」および本年5月に発表したわが国の「対アフリカ協力イニシアティブ」の具体例として位置付けられる。

(参考)
  1. エチオピアは、総人口が6349万人で、一人当たり国民総所得が100ドル(2001年)の低所得国(世銀ランク)である。

  2. エチオピアは、教育においても開発がもっとも遅れた国の1つであり、「2035年までの初等教育の完全普及の達成」のため、5ヵ年教育セクター開発計画(ESDP:1997年から2002年)に基づき、各ドナー機関の協力を得て初等教育のアクセス、質、効率、公正等の改善に取り組んできた結果、1995年時点で30.0%であった初等教育就学率が、ESDP終了時(2002年7月)には61.6%に向上した。エチオピア国政府は、教育セクター開発計画フェーズII (ESDP-II:2003年から2005年)を策定し、教育環境改善に取り組んでいる。
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