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モロッコの「ベンスリマン地区飲料水計画」に対する無償資金協力について

平成15年9月17日

  1. わが国政府は、モロッコ王国政府に対し「ベンスリマン地区飲料水計画」(Projet d'Approvisionnement en Eau Potable des Populations Rurales dans la Province de Benslimane)の実施に資するため、9,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が9月17日(水)(日本時間17日)、ラバトにおいて、わが方 河村悦孝在モロッコ大使と先方アブデルケビル・ザフード国土整備・水利・環境大臣付き水利担当国務長官(Abdelkebir Zahoud, Secretaire d'Etat aupres du ministre de l'Amenagement du territoire, de l'Eau et de l'Environnement, charge de l'eau)との間で行われた。

  2. モロッコでは、農村部の飲料用給水率は低い(49%)ために、ベンスリマン地区住民の間では水因性疾病(脱水症・チフス・赤痢・持続性下痢)が多発しているほか、伝統的に児童が水汲みの労働力となっているため、児童の就学環境においても支障を来している。さらに、このような劣悪な生活環境は、地方農村部から都市部への人口流失の原因ともなっており、地方農村部開発において支障を来している。
     こうした状況を改善するため、モロッコ政府は、1990年から1994年にかけて国連開発計画(UNDP)の支援を受け地方農村部における飲料水開発調査「全国地方給水計画マスタープラン調査」を実施し、この調査に基づいた地方自治体及び地域住民参加型の「地方給水事業計画」を策定した。モロッコ政府および各ドナーの支援により、1994年からこの計画が実施に移されてきたものの、同マスタープランの重点目標である「2010年までに給水率80%」の計画達成は大幅に遅れている。
     このような状況の下、モロッコ政府は、同計画下での給水施設建設がこれまで実施されてこなかったために、依然として給水事情が劣悪であり、山岳地帯であるために、飲料水へのアクセスが非常に悪いベンスリマン地区を対象とする「ベンスリマン地区飲料水計画」を策定し、27箇所の給水施設建設に必要な資機材(配水管、給水栓等)を整備し、建設される給水施設の運営・維持管理に資する啓蒙活動への技術支援を行うための資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものであり、これはモロッコ政府に対する我が国の重点支援分野(水供給)にも合致するため、実施することとしたものである。

  3. この計画の実施により、ベンスリマン地区において約1万2,000人の給水事情が改善され、1回当たりの水汲み時間が減少することにより児童の就学環境が改善されるほか、同国水質基準を満たす消毒処理がなされた飲料水を利用することにより、水因性疾病の減少が期待される。

    (参考)モロッコは、北アフリカの大西洋及び地中海沿岸地域に位置しており、一人当たりGNI(国民総所得)が1180ドルの低中所得国(世銀ランク)である。
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