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マダガスカルの「予防接種拡大計画」に対する無償資金協力について

平成15年8月21日

  1. わが国政府は、マダガスカル共和国政府に対し、「予防接種拡大計画」の実施に資することを目的として、2億5,100万円を限度する額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月21日(木)、アンタナナリボにおいて、わが方吉原修在マダガスカル大使と先方マルセル・ランジェヴァ外務大臣(M. Marcel RANJEVA, Ministre des Affaires Etrangeres)との間で行われた。

  2. マダガスカル政府は、母子保健の向上を目的とした「保健医療5ヵ年計画 (2002年から2006年)」を策定し、インド洋上の他の島嶼国と比べ高い乳幼児死亡率(開発途上国平均9%に対し15%)を低下させるため予防接種活動の強化等を具体的な目標に掲げている。
     しかしながら、同国はインフラの未整備によりアクセス困難な地域や雨季に洪水で孤立してしまう地域が多く、ワクチンを保管する冷蔵庫や車輌等のコールドチェーン機材が整備されていないため効率的な予防接種が困難なことから、接種率はWHO(世界保健機関)が推奨する目標値80%よりかなり低いもの(1999年ポリオ、麻疹、BCG全て50%以下)となっていた。
     また、2001年12月の大統領選挙に端を発した政情不安により、幹線道路の封鎖、医療機関を含めた予算執行の停止等が発生し、ワクチンの輸送、保管を含めた予防接種活動は困難を極め、予防接種率は低下し、6月には南部トリアラ州でポリオ症例が報告されるなど、国家レベルの予防接種活動の強化の必要性が改めて指摘されている。
     このような状況の下、マダガスカル政府は、わが国が1989年から2001年にかけて実施してきた技術協力「感染症対策特別機材供与」が終了するのを機に、予防接種活動に必要なワクチン保管および運搬用のコールドチェーン機材(保冷用冷蔵庫、コールドボックス、ワクチンキャリアー等)の調達を目的とした「予防接種拡大計画」を策定し、この計画に必要な資金につきわが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。

  3. この計画の実施により、ワクチン接種対象となる1歳未満児約69万人と再生産年齢女性(WHOの規定では15歳から49歳の妊娠可能な女性)の約427万人が適正に管理されたワクチン接種を受け、また、これまで適切なコールドチェーン機材がなかった郡保健事務所および保健センターに機材が配備されることにより適切なワクチンの保存が可能となることが期待される。

    (参考)
     マダガスカルはアフリカ大陸の南東400kmのインド洋上に位置し、人口が約1,677万人の世界で4番目に大きい島国である。1991年以降の内政混乱とサイクロンなどの自然災害により経済は低迷していたが、1994年以降は世銀・IMF(国際通貨基金)との構造調整および経済自由化が功を奏し、90年代後半は着実な経済成長をとげてきた。
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