
ネパールの「カトマンズ上水施設改善計画(3/3期)」に対する無償資金協力について
平成15年8月21日
- わが国政府は、ネパール王国政府に対し、「カトマンズ上水施設改善計画(3/3期)」(the project for Improvement of Kathmandu Water Supply Facilities)に資することを目的として、2億7,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月21日(木)、カトマンズにおいて、わが方神長善次在ネパール大使と先方バヌ・プラサド・アチャリヤ大蔵省事務次官(Mr. Bhanu Prasad Acharya, Secretary, Ministry of Finance, His Majesty's Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパール政府は、基礎生活分野の環境改善の一環として、国民に良質な水を供給するための上水道整備事業を推進してきており、現在の給水率は都市部で約7割、農村部では約4割と給水状況が改善されつつある。しかしながら、近年人口増加が著しいカトマンズ盆地においては、水の供給が人口の増加に対応できず、給水量および水質は低下し、給水が行われている地域においても一日当たり1時間から4時間の時間給水となっている。
こうした状況を踏まえ、わが国は、1990年にカトマンズ盆地内の水源拡張と水管理計画策定に関する開発調査を実施し、配水池設置および浄水場建設等の計画を提言したが、未だに一部の浄水場等の整備が具体的な計画に移されておらず、カトマンズ盆地の安定給水を実現するまでには至っていない。
このような状況の下、ネパール政府は「カトマンズ上水施設改善計画」を策定し、マノハラ川を水源とする新たな浄水場等の建設および既存のシャイブー配水場の配水池等の増設につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており、ネパールに対するわが国の援助重点分野である経済基盤整備分野(電力、道路、水供給等基礎的な経済インフラの整備)に合致するため実施することとしたものである。
- なお、今回の3期目では、既存のシャイブー配水場に配水池を増設するとともに、市内の給水区へ新たな配水管の敷設を実施するものであり、この計画の実施により、カトマンズ盆地の一人当たりの給水量が一日47リットルから71リットルに向上し、深刻な給水事情が緩和されるとともに、カトマンズ地区住民の生活環境が改善されることが期待される。
(参考)
ネパール王国は約14万7,000平方kmの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGDP(国内総生産)は約240ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。