
カンボジアの「感染症対策計画」に対する無償資金協力について
平成15年8月18日
- わが国政府は、カンボジア王国政府に対し、「感染症対策計画」の実施に資することを目的として3億9,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月18日(月)、プノンペンにおいて、わが方小川郷太郎在カンボジア大使と先方ハオ・ナムホン上級大臣兼外務国際協力大臣(Mr. Hor Namhong, Senior Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。
- カンボジア王国では、結核の患者数が6万3,000人(人口10万人あたり539人)を数えており、WHO(世界保健機構)により結核対策最重点国に指定されている。また、HIVウィルス感染により結核の合併感染の爆発的増加も懸念されている。
このため、カンボジア政府は、国家結核対策戦略5ヵ年計画において2005年までに患者発見率70%、治癒率85%を達成・維持することを目標として掲げ、DOTS戦略(喀痰塗抹検査で患者を発見し、保健従事者の監視のもと患者の抗結核薬服用を実施する保健サービスにより感染拡大の防止を図るもの)の更なる強化を目指しているものの、抗結核薬等の不足によりDOTS戦略の継続が困難となっている。
また、カンボジア王国では、乳児死亡率および5歳未満児死亡率がそれぞれ86および122(共に対1,000人出生)と東アジアの諸国と比較して非常に悪い状況にあり、その主な原因は、下痢疾患、急性呼吸器感染症、栄養失調の他、麻疹、ポリオなどワクチンで予防可能な疾患とされている。
このため、カンボジア政府は、国家予防接種戦略5ヵ年計画において、2005年までに完全予防接種率80%を達成することを目標として掲げ予防接種の実施に取り組んでいるものの、コールドチェーン(ワクチンを保冷・冷凍したまま接種現場まで保管・搬送するための資機材)等の機材の老朽化により予防接種率が低下傾向にある。
このような状況の下、カンボジア政府は、抗結核薬、ワクチン、コールドチェーン等を購入するため「感染症対策計画」を策定し、この計画に必要な資金等につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請したものであり、これはカンボジアに対するわが国の援助重点分野(教育、医療保健分野等の社会的弱者支援)にも合致するため実施することとしたものである。
- この計画の実施により、結核感染の疑いのある患者約20万人が喀痰塗抹検査を受けられるようになるとともに、約2万1,000人の結核患者の治療が可能となる。また、乳児約4万9,000人および19歳から49歳までの妊娠可能女性約317万人に対し、適切な温度で管理されたワクチンを接種することが可能となる。
(参考)カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,220万人、国民1人あたりのGNP(国民総生産)は約260ドルである。