(1)「第二次初等教育施設整備計画」
モンゴルは、中国およびロシアと国境を接する人口約248万人の国であり、同国は、長らく社会主義に基づき国家建設を進めてきたが、1990年以降は民主化と市場経済体制への移行に努め、改革を進めている。しかしながら、一人当たりのGNP(国民総生産)は依然として440ドル(2002年)と低い。
近年のモンゴルでは、都市への急激な人口流入により、特に都市部の初等教育施設における教室数不足が深刻化しているほか、モンゴル政府は、初等学校への入学年齢を、現行の8歳から国際的な標準である6歳まで段階的に引き下げる計画を予定しているため、今後さらに学習環境が悪化することが懸念されている。
このような状況の下、モンゴル政府は首都ウランバートル市に次ぐ都市を有するオルホン県およびダルハン・オール県を対象とした「第二次初等教育施設整備計画」を策定し、この計画のための教室建設および教育用機材等の整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、オルホン県およびダルハン・オール県に新たな57教室が建設され、約4,200人の生徒を収容することが可能となる。また3部制の授業が解消され、教育環境の改善に寄与することが期待される。
なお、わが国は、平成11年度から平成13年度にわたり、無償資金協力によって、首都ウランバートル市を対象とした教室建設および教育用機材と基礎的教材の整備を実施している。
(2)「気象情報ネットワーク改善計画」
モンゴルは夏の干ばつや冬の雪害等、気象災害に頻繁に見舞われており、牧畜業を含めた国民生活全体における損失は甚大なものとなっている。実際にモンゴルでは、1999年および2000年に2年連続で大規模な雪害が発生し、家畜総数約3,300万頭のうち約400万頭が死亡するなど、特に地方に住む多くの遊牧民が直接的・間接的な経済的影響を受けている。
このような気象災害の被害を最小限に抑えるためには、モンゴル全土における気象情報を正確に把握し、その情報を気象予報に活用していくことが極めて重要であるが、地方気象観測所における既存の気象観測機材の多くは旧ソ連製のものであり、老朽化が著しい。また既にメーカーで生産を中止しているものもあり、スペアパーツの入手さえも困難な状況にある。
このような状況の下、モンゴル政府は「気象情報ネットワーク改善計画」を策定し、この計画のための地方気象観測所の機材更新および通信ネットワークの改善に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、地方における正確な気象観測データの収集および各地方気象観測所に対するモンゴル全土の気象情報の提供が可能となる。また、より正確な気象予報が可能となり、事前に的確な自然災害対策を講じることにより、結果としてモンゴルにおける自然災害の被害軽減に寄与することが期待される。