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パキスタンの「イスラマバード小児病院整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について

平成15年8月6日

  1. わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、「イスラマバード小児病院整備計画」及び「新生児破傷風予防接種拡大計画」の実施に資することを目的として総額8億6,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月6日(水)、イスラマバードにおいて、わが方在渋谷實パキスタン大使と先方ワッカー・マスード・ハーン経済省次官(Dr. Waqar Masood Khan, Secretary to the Goverment of Pakistan, Economic Affairs Division)との間で行われた。

    (1) 「イスラマバード小児病院整備計画」
    (the project for Improvement of Islamabad Children's Hospital)
    6億2,500万円
    (2) 「新生児破傷風予防接種拡大計画」
    (the project for Expansion of Immunization against Neonatal Tetanus)
    2億4,000万円


  2. (1)「イスラマバード小児病院整備計画」
     イスラマバード小児医療病院は、1985年、小児医療サービスの充実と同医療従事者の養成を目的としてわが国の無償資金協力により完成し、230床を有する国内でも有数の小児病院としてパキスタン・イスラム共和国の小児医療の中核を担ってきた。しかしながら、2001年7月に80年ぶりといわれる集中豪雨が発生したため、その影響により地階の機械室が浸水し、電気設備・機械設備が被災したことにより、一部病院機能(地下にある機械室の冷凍機・ボイラー、電気室の発電機等及びそれらを利用した医療機器・施設)が稼動できない状況にある。
     このような状況の下、パキスタン政府は、イスラマバード小児病院の機能回復及び災害防止を図るべく、設備機器の交換・修繕、空調用機器の修繕、雨水・排水設備の改善等を目的とした「イスラマバード小児病院整備計画」を策定し、この実施のために必要な資金等につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、イスラマバード小児病院のレントゲン、人工呼吸器、保育器、滅菌機能等稼動していない病院機能が被災前の状態に回復し、外来・入院患者に対し適切な小児医療サービスが提供されるとともに、雨水排水設備の改善等により再被災が防止されることが期待される。

    (2)「新生児破傷風予防接種拡大計画」
     パキスタン・イスラム共和国は、生後28日未満の新生児破傷風による死亡数が約2万2,000例と推定されるなど、世界の中で新生児破傷風制圧の達成率の低い17カ国の1つに挙げられている。
     このような状況のもと、パキスタン政府は、「国家保健計画」において感染症対策を重要分野の1つとし、各州におけるプライマリーヘルスケア活動(基本的な健康管理)との連携を図りながら、予防接種により、破傷風をはじめとする各種感染症の削減を行っている。特に妊産婦への破傷風ワクチン接種は、新生児破傷風を制圧するための主要計画として位置づけられており、2001年より新生児破傷風予防接種キャンペーンを実施しているが、破傷風を原因とする新生児死亡率は4.2人(出生1,000人に対し)と推定されており、WHO(世界保健機構)およびユニセフが掲げる目標(2005年までに新生児死亡率1人以下(出生1,000人に対し))の達成を図るべく、引き続き予防接種活動を強化する必要がある状況である。
     このような状況の下、パキスタン政府は、予防接種が不十分な地域における新生児破傷風の予防接種に必要なワクチンおよび注射器等を購入するため「新生児破傷風予防接種拡大計画」を策定し、この計画に必要な資金等につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、新生児破傷風発症のハイリスク地域65県に居住する妊娠可能女性1,126万人に対し、破傷風ワクチンが接種され、新生児死亡率の低減に貢献することが期待される。

  3. なお、今回の協力は、わが国が平成13年11月に発表した、貧困削減等の分野を中心とした3億ドルの対パキスタン経済支援の一環として実施されるものである。

  4. パキスタン・イスラム共和国は、南西アジアに位置し、人口1億4,400万人、国民1人あたりのGNP(国民総生産)は約450ドルである。
     パキスタン・イスラム共和国では、出生1,000人あたりの乳児死亡率が83.3人(東南アジアおよび南西アジア諸国の平均は41.5人)となっているなど、保健水準の改善が必要とされており、パキスタンの第9次5ヵ年経済開発計画においても、小児医療施設の拡充、予防接種率の向上等の対策を講じることが、重点施策とされている。
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