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パキスタンに対する円借款の供与について

平成15年1月24日
  1. わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、継続案件である「コハット・トンネル建設計画(III)」(Kohat Tunnel Construction Project(III))に対して、総額31億4,900万円までの円借款を供与することとし、このための書簡の交換が、1月24日(金)、イスラマバードにおいて、わが方渋谷實在パキスタン大使と先方ワッカー・マスード・ハーン経済省次官(Dr. Waqar Masood Khan, Secretary to the Government of Pakistan, Economic Affairs Division)との間で行われた。

  2. 案件の概要

     パキスタンのコハット峠(北西辺境州)は、同国を南北に縦断する国道55号線にある急勾配や急カーブの多い交通の難所となっており、事故や交通渋滞が多発する場所となっている。このため、パキスタン政府は、この計画において、コハット・トンネル(全長1,885メートル)等を新設し、大型車両の通行、交通渋滞の緩和および安全性の確保を図ろうとしている。
     このような状況に鑑み、わが国は、この計画の完成のため、今般円借款を継続実施することとしたものである。
     この計画の実施により、パキスタン国内でもインフラ整備が特に遅れている北西辺境州において、本件計画を含むインダスハイウェイが整備され、同地域と国内各地のアクセスが改善され、地域格差の是正、地域経済の活性化、および地域の安定成長に貢献することが期待されるほか、隣接するアフガニスタンとの流通状況が改善することになり、アフガニスタン復興支援にも資することが期待される。
     なお、本件は1994年度の第I期分(54億3,700万円)および2001年度の第II期分(40億3,200万円)の円借款資金により既に工事が実施されている継続案件である。

  3. 供与条件は次の通り

    (1)金利:年1.8%
    (2)償還期間:30年(10年の据置期間を含む)
    (3)調達条件:一般アンタイド
    (4)その他:調達プロセスの公平性と競争性を確保するため、調達手続きについては第三者機関による定期的・事後的監査を実施することとするが、監査費用については、円借款に含めない。

  4. この計画については、昨年9月11日にニューヨークで行われた日・パキスタン首脳会談において、小泉純一郎総理大臣からパルヴェーズ・ムシャラフ大統領に対して「日本としてはパキスタンと相談しながらできるだけの協力をしていきたい」旨伝達していたものである。

  5. 今回の円借款の供与により、これまでにわが国がパキスタンに対して供与した円借款の総額は1兆30億8,317万円(うち、同国に対する円借款に係る債務繰延額1,769億1,417万円)となる。
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