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モロッコに対する円借款の供与について

平成14年5月24日

  1. わが国政府は、モロッコ王国政府に対し、「地方電化計画(II)」(Rural Electrification Project(II))のための総額73億5,000万円を限度とする円借款を供与することとし、このための書簡の交換が5月24日(金)、ラバトにおいて、わが方佐藤裕美在モロッコ大使と先方ウアラルー経済・財政・民営化・観光大臣(Fathallah Oualalou, Ministre de l' Economie, des Finances, de la Privatisation et du Tourisme)との間で行われた。

  2. 案件の概要

     今回の協力は、地方電化率を2006年までに80%に改善するため、1996年より開始された地方総合電化計画の第3フェーズの一部をなすものであり、特に貧困度の高い7県における約8万8,000世帯を対象に地方電化を実施する(第3フェーズ全体では約31万世帯が対象)。

  3. 供与条件は次の通り

    (1)金利 :年2.2%
    (2)償還期間:30年(10年の据置期間を含む)
    (3)調達条件:一般アンタイド

  4. 本件円借款の意義

    (1)モロッコは、構造改革努力にもかかわらず、依然として都市部と地方あるいは富裕層と貧困層との格差、また干ばつおよび主要産品たる燐鉱石の国際価格に大きく左右される経済の脆弱性、さらに高い失業率という問題を抱えている。このような状況の中、格差の是正については、地域住民が裨益するような地方を中心とする社会インフラの整備、また、経済構造の強化については、農業部門の天候による影響を抑えるための灌漑設備等の整備や輸出産業育成につながる投資の促進のための経済インフラ整備、失業率問題では経済のレベルアップによる雇用創出努力が必要となっている。

    (2)今次借款対象案件である「地方電化計画(II)」は、モロッコにおいて特に貧困度の高い7県を対象に配電網整備を行うものであり、対象世帯の生活環境の改善、村落部経済の活性化等の効果が期待されるとともに、地域間格差の是正にも資するものである。

    (3)モロッコは中東和平プロセスにおいても、穏健なアラブ国家としての役割を果たしており、同国の安定は地域の安定と平和にとって重要である。今回のモロッコに対するわが国の円借款の供与は、同国の経済発展を促進するのみならず、同国の安定を通じて地域全体の平和と安定に大きく資するものとして、その意義は大きい。


  5. 今回の円借款の供与により、これまでにわが国がモロッコに対して供与した円借款の総額は1,612億円となる。
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