
パキスタンに対する無償資金協力(セクタープログラム無償資金協力)について
平成15年3月17日
- わが国政府は、パキスタン・イスラム共和国政府に対し、60億円の無償資金協力(セクタープログラム無償資金協力)を行うこととし、このための書簡の交換が、3月17日(月)、イスラマバードにおいて、わが方渋谷實在パキスタン大使とワッカール・マスード・カーン経済省次官(Dr. Waqar Masood Khan, Ministry of Economic Affairs &Statistics)との間で行われた。
- パキスタンは1998年5月の核実験以降,IMF(国際通貨基金)等の国際金融機関からの融資停止および主要援助国からの援助停止等の措置を受け、国内経済が危機的な状況に陥った。このような中、2000年11月には、国際収支支援のためのIMF融資が承認されたこと等により、危機的な状況は回避できたが、依然として慢性的な経済困難に直面しており、特に昨年9月の米国同時多発テロ事件発生以降、経済活動の大幅な落ち込み及び財政負担の増大などにより経済的困難は深刻化している。このような状況の下、パキスタンでは、2001年12月に暫定的・貧困削減戦略ペーパー(I-PRSP)がIMF理事会により承認され、2003年内に最終版PRSPを策定するべく、マクロ経済の安定化、開発重点セクター(農業および工業分野)の成長、保険・教育分野に重点を置いた貧困削減の実施に取り組んでいる。
- 今回のセクタープログラム無償資金協力は、パキスタンの構造調整計画の実施を支援するものであり、パキスタン政府が経済構造改善の推進に必要な商品を輸入する代金の支払いのために使用される。また、現地通貨ルピーで積み立てられる見返り資金は、パキスタン政府作成の貧困削減戦略ペーパーの重点分野に使用される。
- わが国政府は、パキスタンの平和構築への努力を支持するとともに、アフガニスタンの恒常的平和と安定を実現するためには周辺国の協力が不可欠であるとの観点から、テロリズムとの闘いに取り組む中で困難に直面しているパキスタンに対する支援として、同国の要請に応じ経済構造改善および貧困削減の実施に取り組んでいるパキスタンに対して60億円のセクタープログラム無償資金協力を供与することとしたものである。なお、今回の協力は、一昨年11月16日に発表したパキスタンに対する追加的経済支援(今後2年程度で3億ドル)の一環として実施するものである。