
バングラデシュの「ヒ素汚染緩和計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成14年12月15日
- わが国政府は、バングラデシュ人民共和国における「ヒ素汚染緩和計画」(The project for Mitigation of Arsenic Contamination in the People's Republic of Bangladesh)の実施に資することを目的として、ユニセフ(国連児童基金)に対し、1億8,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月15日(日)、ダッカにおいて、わが方小林二郎在バングラデシュ大使と先方モーテン・ギアシング在バングラデシュ・ユニセフ事務所代表(Mr.Morten Giersing, Representative of the UNICEF Office in Bangladesh)との間で行われた。
- バングラデシュでは、1971年の独立直後から、下痢、コレラ、赤痢などの水系伝染病対策の一環として各援助機関の支援の下に飲用井戸の普及を促進しているが、同国64中61県の井戸においてヒ素汚染が発生し、WHOのヒ素水質基準ガイドライン値(0.01mg/l)に当てはめた場合、総人口の約5割に当たる6,000万人が影響を受けていると考えられている。また、バングラデシュ政府の公式発表においては慢性のヒ素中毒患者が1万554人にも及んでおり大変深刻な状況となっている。
このような状況の下、バングラデシュ政府およびユニセフは、ヒ素対策を総合的に推進するため、特にヒ素汚染が深刻な14県を対象とした「ヒ素汚染緩和計画」を策定し、住民へのヒ素に対する情報・知識の普及、公共井戸・私設井戸の汚染状況の調査と代替水源の確保、ヒ素中毒患者の認定と治療のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ヒ素およびヒ素中毒症に対するバングラデシュ国民の関心と知見が高まるとともに、ヒ素に汚染された井戸の使用が減少し、バングラデシュにおけるヒ素汚染の緩和が期待される。
(参考)
ヒ素は地殻中に広範囲に分布しており、無期ヒ素化合物は極めて毒性が強いことで知られている。慢性ヒ素中毒症は、まず手や足の裏の角化、色素沈着などが皮膚症状として現れ(台湾の黒足病)、症状が進むと重症の皮膚ガンや内臓障害となり治療が困難となる。