(1)「人材育成奨学計画」
インドネシア政府は、国家開発計画(2000年から2004年)において、法秩序および政治面において「地方分権の実施」、「司法制度改革と汚職撲滅」を、経済面では「財政の再建」、「経済成長のための投資環境の整備」、「産業競争力の強化」を国家の重要課題として掲げており、これら政策課題を解決するためには、行政官を中心とする人材の育成が必要不可欠となっている。
このような状況の下、インドネシア政府は、行政、法律、経済、経営、国際関係、IT(情報通信技術)の6分野における人材育成を図るため「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
なお、この計画は、インドネシアの将来を担う行政官、大学教員等30名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により育成される人材が、各分野のリーダーとして、インドネシアが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・インドネシア両国間の友好協力の架け橋となることが期待される。
(2)「中央および北スラウェシ州橋梁改修計画(詳細設計)」
スラウェシ島は、インドネシア国内でもジャワ島やスマトラ島に比べて開発が遅れており、その中でも中央スラウェシ州は最も開発が遅れている。特に、ブオル、バンガイ両県は州都パルから離れていることもあり、道路の整備が遅れており、橋梁の殆どが40年から50年前の木橋であり、近年の交通量の増加や老朽化による破損等が目立つほか、雨期には水位上昇で交通がストップし、地域が分断されるなど、住民の日常生活にも支障を来たしている。
さらに、スラウェシ島縦断幹線道路上にある北スラウェシ州の2橋は、洪水による破損や老朽化により、荷重制限を行なうなど、本来の基幹道路としての機能を失っている。
このような中、インドネシアでは持続的で公平な開発基盤強化を通じ、国民福祉の向上、経済再建の促進を図ることとしており、地域住民の生活レベルを改善し、全スラウェシ島の均衡ある発展を図るため、これら橋梁の架け替え、改修が不可欠となっているが、厳しい財政状況のため、実施が困難となっている。
このような状況の下、インドネシア政府は「中央および北スラウェシ州橋梁改修計画」を策定し、中央スラウェシ州における14橋梁の改修、北スラウェシ州における2橋の改修を行うために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
今後、わが国無償資金協力によりこの計画が実施に移されることにより、地方の基本交通手段の確保、地域住民の日常生活の改善および全スラウェシ島の均衡ある発展が期待される。