
ドミニカ共和国の「低開発地域上水道施設改修計画」に対する無償資金協力について
平成14年10月30日
- わが国政府は、ドミニカ共和国政府に対し、「低開発地域上水道施設改修計画(Proyecto de Rehabilitacion de Plantas de Tratamiento de Agua Potable en Comunidades Subdesarrolladas)」の実施に資することを目的として、5億5,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、10月30日(水)、サントドミンゴにおいて、わが方野上武久在ドミニカ共和国大使と先方トレンティーノ外務大臣(Dr. Hugo Tolentino Dipp, Secretario de Estado de Relaciones Exteriores)との間で行われた。
- ドミニカ共和国では、現存の上水道施設の老朽化により、安定的で衛生的な飲料水の提供が困難な状況ある。このため同国政府は、1994年に「農村地域および都市近辺地域の上水道整備国家計画」を策定し、飲料水不足が深刻化している地域を選定し、これらの地域の上水道施設の改修を重点目標とした。しかしながら、上下水道局(INAPA)は予算不足等により改善を進めることが困難な状況にある。
このような状況の下、ドミニカ共和国政府は、「低開発地域上水道施設改修計画」を策定し、この計画のための裨益者が多く、特に緊急に改善が必要とされるコンスタンサ、マイモン、バニ等5地域の上水道施設の改修、ならびに上下水道中央試験室の機材購入等に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
- 近年、国際社会においては水および衛生分野における関心が急速に高まっており、国連ミレニアム開発目標においては、安全な飲料水にアクセスすることのできない人の割合を2015年までに半減することとされている。また、持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)においても主要な論点の一つとなり、基本的衛生施設にアクセスできない人の割合を2015年迄に半減するとの新たな目標が合意され、明年3月に日本で開催される第3回世界水フォーラムおよび閣僚級国際会議、同6月に仏で開催されるエヴィアン・サミット等一連の開発関連国際会議においてもこの問題は引き続き大きく取り上げられる見込みである。わが国は、このような状況を踏まえ、WSSDの機会に、小泉構想の中で水と衛生問題へ積極的に対処することを表明したところである。今回の案件は、こうした我が国の取り組みの一環として位置付けられるものである。
- この計画の実施により、約14万人の住民に対し、水供給が可能となる期間が大幅に増加するとともに、衛生的な飲料水の供給により小児性下痢症等の感染症罹患率の低下および衛生環境の改善が期待される。