
タンザニアの「感染症対策計画」に対する無償資金協力について
平成14年7月9日
- わが国政府は、タンザニア連合共和国政府に対し、「感染症対策計画」(the Project for Infectious Diseases Control)の実施に資することを目的として、3億1,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月9日(火)、ダルエスサラームにおいて、わが方出木場一実在タンザニア大使と先方ピーター・ングンブル大蔵次官(Mr. Peter Ngumbullu, Permanent Secretary, Ministry of Finance)との間で行われた。
- タンザニアにおいては、HIV(エイズウィルス)感染者が急激に増加しており、1999年には感染者数は130万人、年間死亡者数14万人を超える深刻な状況である。現在では、15歳以上の人口の10%から12%がHIV陽性と推計されているが、特に生産人口における罹患率の高さが深刻であり、妊婦検診では多くの地域で感染者が40%を超えている。
このような状況を受けて、タンザニア保健省は「HIV対策3ヵ年計画」を策定し、カウンセリングと検査を行うセンターの整備およびHIV感染との関連が深い性感染症治療の強化を目指している。
一方、その他の感染症に対する予防接種活動においては、1970年代からコールドチェーン機材の整備が行われてきたが、機材の多くが既に老朽化し、ワクチンの品質劣化のために予防接種活動が支障をきたしており、老朽化機材の更新が緊急の課題となっている。
このような状況の下、タンザニア政府は、「感染症対策計画」を策定し、HIV対策および予防接種活動の実施に必要な機材を調達するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、タンザニアの「HIV対策3ヵ年計画」に基づくカウンセリングセンターの活動強化および輸血や性感染症によるHIV感染拡大を抑制するとともに、予防可能な感染症の罹患率の低下が期待される。また、米国国際開発庁(USAID)との連携により、本件計画に関わるスタッフの技能の向上も期待されている。
(参考)コールドチェーンとは、ワクチンを低温保存するための機材(アイスパック、冷蔵庫、ワクチンキャリア等)である。