
ユーゴスラビアの「バイナ・バシュタ揚水発電所改修計画」に対する無償資金協力について
平成14年6月18日
- わが国政府は、ユーゴスラビア連邦共和国政府に対し、「バイナ・バシュタ揚水発電所改修計画」(The project for Rehabilitation of the Bajna Basta Pumped storage Hydroelectric Power Plant)の実施に資することを目的として、6億9,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月18日(火)、ベオグラードにおいて、わが方美根慶樹在ユーゴスラビア大使と先方ミロリュブ・ラブス副首相兼対外経済関係大臣(Dr. Miroljub Labus, Deputy Prime Minister and Minister for Foreign Economic Relations of the Federal Republic of Yugoslavia)との間で行われた。
- ユーゴスラビアでは、2000年10月、約10年間にわたって南東欧地域最大の不安定要因となってきたミロシェビッチ政権が崩壊し、民主的なコシュトゥーニツァ新政権が誕生、経済改革に着手した。しかしながら、ミロシェビッチ政権下での長期にわたる旧ユーゴ紛争および国際社会により課されていた経済制裁に加え、1998年からのコソボ問題の拡大により、ユーゴスラビアの経済の疲弊は著しい。
なかでも、疲弊した経済情勢は同国の電力公社であるセルビア電力産業公社の財政にも影響を与え、同公社の資金不足のため発電設備の維持管理を十分行えず、現在の出力は設備容量の70%を下回る状況にある。今回の計画対象であるバイナ・バシュタ揚水発電所は、国内唯一の揚水発電所であり、最大出力614MWとユーゴ国内の電力運用において重要な位置を占めているが、運転開始以降20年経った現在まで一度も本格的な補修が実施されておらず、安定した電力供給の確保、信頼性と安全性の確保の観点から同発電所の補修を早急に実施する必要が生じている。
このような状況の下、ユーゴスラビア政府はバイナ・バシュタ揚水発電所の既設発電設備の発電能力を維持し、電力供給における信頼性の向上および設備稼働率の向上を図るため「バイナ・バシュタ揚水発電所改修計画」を策定し、水車発電機(1号機および2号機)ならびに関連電気設備の補修に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の無償資金協力は、コシュトゥーニツァ政権誕生後に国際社会が同国の民主化、国際社会への復帰に向けた努力を支援することを表明し、昨年6月に開催された支援国会合においてわが国が表明した、最大で5,000万ドルの無償資金協力からなる支援パッケージの一環として供与するものである。