スーダンの「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成14年6月3日
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わが国政府は、スーダン共和国政府に対し、「小児感染症予防計画(the Project for Infectious Disease Prevention for the children in the Sudan)」の実施に資することを目的として、国連児童基金(ユニセフ)に対して2億9,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月3日(月)、ハルツームにおいて、わが方星彰在スーダン大使と先方トーマス・エクヴァル在スーダン・ユニセフ代表(Mr. Thomas Ekvall, Representative, United Nations Children's Fund office in Sudan)との間で行われた。
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スーダンでは長期化する内戦、低迷する経済状況のため、政府の保健・医療サービスが十分ではなく、国民の栄養状況も悪化している。特に、子どもの生命が危機に晒されており、出生1000名における乳児死亡率は82、幼児死亡率は132と中東諸国の中でも最低の状態にある。
このような状況に対応するため、1989年、国連諸機関、スーダン政府及び反政府勢力との間でスーダン生命線活動(OLS)協定が結ばれ、援助機関による人道支援がより広範に実施できる体制が整った。同国政府およびユニセフは、WHO、欧米の援助機関、国際NGO(非政府組織)等と連携し、子どもの保健・医療分野での支援を実施し、スーダン国内における経口ポリオをはじめとするワクチン摂取率は上昇している。しかしながら、ポリオ発症件数は1999年に60件が報告され、2001年には1件まで減少してきているものの、未だ野生株(自然に発生するウィルス)感染は根絶されていない。また、マラリアや麻疹といったその他の感染症の脅威も依然衰えてはいない。
このような状況の下、スーダン政府およびユニセフは「小児感染症予防計画」を策定し、本年11月、12月に予定されている全国580万人の5歳以下の乳幼児を対象とした第11回ワクチンの全国一斉投与(NID)の実施に必要なポリオ・ワクチン、麻疹ワクチン、およびそれらワクチンの低温保存のためのコールドチェーン機材等の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。
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この計画の実施により、WHOが掲げる2005年までの世界的なポリオ撲滅の目的に資するとともに、スーダンにおける乳幼児死亡率の低減に寄与することが期待される。