
エチオピアの「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成14年6月3日
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わが国政府は、国際連合児童基金(ユニセフ)に対し、エチオピア連邦民主共和国政府における「小児感染症予防計画」(the project for Infectious Diseases Prevention for Children)の実施に資することを目的として、3億3,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月3日(月)、アディスアベバにおいて、わが方手塚義雄在エチオピア臨時代理大使と先方イブラヒム・ジャブル在エチオピア・ユニセフ代表(Mr. Ibrahim Jabr, Representative of the UNICEF Office in Ethiopia)との間で行われた。
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世界のポリオ撲滅活動は着実に進展しているが、南西アジア地域およびアフリカ地域では未だにポリオ患者が多く発生している。このためエチオピアでは、同国政府およびユニセフ、世界保健機構が中心となってポリオ撲滅に関する調整委員会が形成されており、国際機関、援助国、NGO(非政府組織)が協調して、エチオピア政府に対する資金協力だけでなく政策策定支援や技術支援を行っている。その中において、同委員会の協力のもと、エチオピアでは、1997年からワクチンの全国一斉投与(NID)が開始され、この結果1996年には264件だったポリオ発生件数は、2001年には、発見件数が1件にまで減少した。また、エチオピアでは麻疹の流行が子供の健康に深刻な影響を与えており、2000年には145万件の麻疹患者が発生していると推定され、7万2,000人が死亡していると見積もられている。このため、ユニセフによる指導のもと、ポリオ・ワクチンのNIDと同時に、麻疹ワクチンの全国一斉投与を実施することとしている。さらに、同国ではマラリアが近年増加傾向にあり、大人と子どもをあわせて年間約300万人が罹患していると推定されているため、蚊帳による予防を中心とするマラリア対策に注力している。
このような状況の下、エチオピア政府、ユニセフおよびわが国との間で2001年度第1回および第2回NID(ポリオおよび麻疹)においてマラリア対策への支援の可能性につき検討が行われた結果、エチオピア政府およびユニセフは、上記を実施するための「小児感染症予防計画」を策定し、この計画のためのポリオ・ワクチンおよび麻疹ワクチンの調達ならびにマラリア対策実施に必要な蚊帳等の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
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この計画の実施により、約240万人の5歳以下の児童へのポリオワクチンの接種、約900万人の1歳未満児への麻疹ワクチンの接種およびマラリア予防が可能になる。