
シリアの「ダマスカス市内配水管改修計画(第二次)(1/2期)」に対する無償資金協力について
平成14年4月21日
- わが国政府は、シリア・アラブ共和国政府に対し、「ダマスカス市内配水管改修計画(第二次)(1/2期)(the Project for Rehabilitation of Water Distribution Pipelines in Damascus City:Phase2)」の実施に資することを目的として、7億9,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、4月21日(日)、ダマスカスにおいて、わが方天江喜七郎在シリア大使と先方タウフィック・イスマイル企画庁長官(Dr.Toufik ISMAIL, Head of the State Planning Commission)との間で行われた。
- シリアは、国土の多くが乾燥地帯に属しており、同国では水の安定供給が重要課題となっている。特に近年都市化が進行し、人口増加が著しい首都ダマスカスでは、住民の生活に必要な量の給水を行うことが緊急課題となっている。ダマスカス市内では郊外の泉や地下水を水源として給水を行っているものの、周辺での新たな水源の開発が困難であるため、限られた水量を効率的に配分・使用する必要がある。
しかしながら、ダマスカス市内の給水システムは老朽化しており、配水本管は平均約42年前に敷設されたものであり、漏水の発生率が高く、貴重な水が使用者に届く前に失われたり、地上の漏水事故により道路が冠水し交通障害が発生するといった支障が生じている。また、漏水部分から汚水が混入することによって水質汚染が発生し、保健衛生上も問題が生じている。一方、ダマスカス市では、急速な都市化の進展により給水サービスを実施すべき区域が急速に拡大しているため、新規配水管網の建設を優先せざるをえず、既存の老朽化した配水管の改修を実施できない状況にある。
このような状況の下、シリア政府はダマスカス市の漏水対策として「ダマスカス市内配水管改修計画」を策定し、この計画のための配水管資材等の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
これまでわが国は、第一次計画において、ワリ地区、マルキ地区、旧市街地区、大統領官邸地区、ナースル地区を対象とした協力を実施している。今回の第二次計画では、市街地外周部のカファルスセ、バグダッド、ベルゼ、ミダンおよびメゼ地区の配水管約75kmの改修を対象としており、この1/2期においては、そのうち約50kmの改修を実施することとなる。
今回の協力では、わが国が配水管の資材を供与し、わが方技術指導の下にシリア側が配水管設置工事を実施する。
-
この計画の実施により、約7万4,000人に給水できる新規の水源開発に相当する約1万2,600立方メートル/日の水量が節約されることが期待される。