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中国の「西部七省・自治区感染症予防推進計画」ほか1件に対する無償資金協力について

平成14年4月18日

  1. わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「西部七省・自治区感染症予防推進計画」及び「中等専業教育学校機材整備計画」の実施に資することを目的として、総額17億7,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、4月18日(木)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方龍永図対外貿易経済合作部副部長(Long Yongtu, Vice Minister, Ministry of Foreign Trade and Economic Cooperation)との間で行われた。

    (1) 「西部七省・自治区感染症予防推進計画」
    (the project for promotion of prevention of infectious diseases in western seven provinces)
    供与限度額 4億600万円
    (2) 「中等専業教育学校機材整備計画」
    (the project for supply of equipment for the Secondary Vocational Schools)
    供与限度額 13億6,800万円


  2. (1)「西部七省・自治区感染症予防推進計画」

     中国は予防接種普及活動を1982年より開始し、感染症の抑制、子供の健康保護に取り組んでいる。なかでもワクチン接種は感染症コントロールの最も簡便かつ効果的な手段であるが、接種を末端の現場で行うためには、ワクチンを保冷下において安全に移送、保管するコールドチェーンネットワーク(CCN:北京の生物製品研究所 → 省・自治区・直轄市衛生防疫センター → 市、県衛生防疫センター → 郷(鎮)衛生院→ 村衛生室)の構築が不可欠である。中国政府は、予防接種率の向上、適切なサーベイランス(患者発生の情報連絡、集団発生の監視)の実施のための技術協力として「予防接種事業強化プロジェクト」を要請し、現在、わが国派遣専門家が予防接種従事者の養成研修、予防接種の実施基準の設定等の協力を行っている。しかしながらCCNに必要な機材は現在老朽化が進み、その多くは廃棄処理の時期にさしかかっており、多くの子供が効力を失ったワクチン接種を受けている。感染症は国境を越えて蔓延する危険があり、中国における感染症対策は、わが国を含む近隣諸国への蔓延を予防する上でも重要であるが、対象地域が広大なため全ての老朽化したCCN用機材の更新を行うには予算上の制約から困難な状況にある。
     このような状況の下、中国政府は、技術協力や、WHO(世界保健機関)等のドナー(援助国・機関)とも連携し、西部貧困地域における効果的な予防接種を実施するため、「西部七省・自治区感染症予防推進計画」を策定し、CCNに必要な保冷車等の機材および末端現場で接種を行う医師への教育に必要なプロジェクター等の機材の購入等に必要な資金につき、わが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、中国貧困地域におけるワクチンの安全な移送・保管環境の整備および医師のトレーニングが実現し、感染症の罹患率・死亡率が低下することが期待される。

    (2)「中等専業教育学校機材整備計画」

     中国の教育政策においては、大学の定員増により大学進学率の向上を図るとともに、主に貧困地域住民を対象とする貧困脱却のための施策として中等学校卒業者等を優秀な技術者として養成することを重点分野としている。1998年に中国国家教育委員会が発表した基本方針においても9年制義務教育の完全実施、青壮年層の非識字一掃とともに重点分野として位置けられている。
     このため、中国政府は各省・自治区の中等専業教育学校を統合し、モデル校を設置して専門教育の向上を図っているが、多くの専業教育学校が資金不足のため教育機材が不足している状況にある。このような状況の下、中国政府は、黒龍江省、吉林省、湖南省、貴州省、江西省を対象として、モデル的な中等専業教育学校を選定し、模範的な技術教育を実施するための「中等専業教育学校機材整備計画」を策定し、この計画のための教育機材(視聴覚教育機材、語学教育機材等)の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、貧困地域住民の青少年に技術習得の機会を与え、各地域の需要に応じた人材の育成が期待される。
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