
ユーゴスラビアの「ベオグラード市公共輸送力復旧計画」に対する無償資金協力について
平成14年4月12日
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わが国政府は、ユーゴスラビア連邦共和国政府に対し、「ベオグラード市公共輸送力復旧計画」の実施に資することを目的として、18億5,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、4月12日(金)、ベオグラードにおいて、わが方美根慶樹在ユーゴスラビア大使と先方ミロリュブ・ラブス副首相兼対外経済関係大臣(Dr. Miroljub Labus, Deputy Prime Minister and Minister for Foreign Economic Relations of the Federal Republic of Yugoslavia)との間で行われた。
- ユーゴスラビアでは、2000年10月、約10年間にわたって南東欧地域最大の不安定要因となってきたミロシェビッチ政権が崩壊し、民主的なコシュトゥーニツァ新政権が誕生、経済改革に着手した。しかしながら、長期にわたる旧ユーゴ紛争および国際社会の経済制裁に加え、1998年のコソボ問題の拡大および1999年のNATO(北大西洋条約機構)による空爆もあり、ユーゴの経済の疲弊は著しい。
また、同国の首都ベオグラード市では、経済の著しい疲弊が市民生活を圧迫していることに加え、近隣のクロアチア、ボスニア、コソボ等から難民・国内避難民が流入し、難民・国内避難民を含めた一般市民は苦しい生活を余儀なくされている。このため、同市では安価な移動手段であるバス交通の利用が増加しているものの、同市の公共交通機関を運営しているベオグラード市公共輸送公社は、財政難のためバスの新規購入や必要な維持管理も困難な状況にあり、保有するバスの台数は大幅に減少し、現有のバスも老朽化が進んでいる。このため、ベオグラード市のバス交通は公共輸送機関としての最低限必要なサービスを提供することが困難な状況にある。
このような状況の下、ユーゴスラビア政府はベオグラード市内に多く居住する難民・国内避難民を含む市民の日常の足であるバス交通の輸送力、特に利用者が集中する市街地の8路線の輸送力を確保することを目的とした「ベオグラード市公共輸送力復旧計画」を策定し、この計画を実施するためのバスの購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- コシュトゥーニツァ政権誕生後、国際社会は同国の民主化、国際社会への復帰に向けた努力を支援することを表明し、昨年6月には支援国会合が開催された。今回の無償資金協力は同会合においてわが国が表明した、最大で5000万ドルの無償資金協力からなる支援パッケージの一環として供与するものである。