本件円借款の意義
(1)チュニジアは、世銀・IMF(国際通貨基金)の構造調整計画の下、民営化、市場自由化等、経済の自由化・開放化を目指した諸政策を着実に推進してきている。また、1999年の大統領選挙では史上初の複数の野党候補が立候補し、民主化に向けて更に進展が見られている。
(2)チュニジア政府は、欧州連合(EU)とのパートナーシップ協定に基づき、段階的な関税撤廃政策を実施しており、国内産業基盤のレベルアップと競争力の強化、輸出産業向け直接投資の一層の拡大を図ってゆくために経済・社会インフラの改善が急務となっている。
「エル・ジェム~スファックス間高速道路建設計画」は、首都チュニスと第二の都市スファックスを結ぶ高速道路建設計画の一区間を整備するものであり、効率的な物流・人の移動を促進し、経済インフラの向上に資するものである。
(3)チュニジアは、中東和平プロセスを積極的に推進する等、地中海・中東地域の安定に重要な戦略的役割を果たし、また、わが国との関係も近年益々緊密化している。わが国が円借款により同国の経済開発5カ年計画の実施を支援していくことは、貧困の削減を通じてイスラム過激主義の台頭を抑制し、同国の安定化、ひいては地域の安定化に貢献するものであり、その意義は大きい。