
モロッコの「地方村落妊産婦ケア改善計画」に対する無償資金協力について
平成14年1月22日
- わが国政府は、モロッコ王国政府に対し、「地方村落妊産婦ケア改善計画」(Projet d'amelioration des soins de sante maternelle en milieu rural)の実施に資することを目的として、4億6,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月22日(火)ラバトにおいて、わが方佐藤裕美在モロッコ大使と先方タミ・エル・カイアリ保健大臣(THAMI EL KHYARI, Ministre de la Sante)との間で行われた。
- モロッコでは医療水準の向上が課題であるが、とりわけ妊産婦に対する保健医療整備は遅れている(モロッコの妊産婦死亡率は10万人あたり230人に対し、チュニジアの妊産婦死亡率は10万人あたり70人。)。また、都市部と農村部との間で格差が著しく、都市部における妊産婦死亡率は10万人あたり125人に対し、地方部では307人、更に地方部における妊産婦検診率は21%、施設分娩率は27%となっており、地方村落部における妊産婦に係る保健医療体制は深刻な状況にある。こうした状況を改善するため、モロッコ政府は、「保健開発計画」を策定し、母子保健関連事業の強化および都市・農村部の公共保健施設の格差是正を優先課題に掲げ、地方村落部における母子保健医療分野に係る施設の建設、同施設ネットワークの整備および運営改善などに取り組んでいる。しかしながら、フェズ・ブルマン州、メクネス・タフィラレット州およびグルミン・エスマラ州は、同国の最貧困地域でありながら、財源不足などにより、産科施設などの整備が大幅に遅れている。
このような状況の下、モロッコ政府は、緊急性の高いフェズ・ブルマン州、メクネス・タフィラレット州およびグルミン・エスマラ州における、適切な妊産婦検診・治療を可能とする医療体制の整備を目的とした「地方村落妊産婦ケア改善計画」を策定し、この計画の実施のための産科関連施設の建設および産科機材などの整備に必要な資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
なお、今回は計画の第1期目として、フェズ・ブルマン州およびメクネス・タフィラレット州における8カ所の産科関連施設の増築、産科関連機材、救急車および巡回車の調達を実施する。