
ラオスの「マラリア対策(第二次)・寄生虫対策計画」に対する無償資金協力について
平成14年3月27日
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わが国政府は、ラオス人民民主共和国政府に対し、「マラリア対策(第二次)・寄生虫対策計画(The Project for Malaria Control(Phase 2) and Parasitic Diseases Control)」の実施に資することを目的として3億500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月27日(水)、ビエンチャンにおいて、わが方橋本逸男在ラオス大使と先方ポンサワット・ブーパ外務大臣代理(H. E. Mr. Phongsavath BOUPHA, acting Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
- ラオスにおいては、国民の80%がマラリア流行地域に居住していると推測されている。1996年からマラリア寄生虫昆虫センター(CMPE)が実施機関となり薬剤浸漬蚊帳使用によるマラリア感染予防、マラリアの予防と治療に関する教育および早期診断・早期治療等を含む総合的な国家マラリア対策プログラム(第一次マラリア対策5ヵ年計画、1996から2000年までの5年間)が複数の支援国、機関(日本、ADB(アジア開発銀行)、EU(欧州連合)、世銀等)からの協力により施行された。この計画により死亡数60%の削減および罹患数40%の削減はみられたものの目標値(死亡数80%削減、罹患数50%削減)には到らず、マラリアは現在も同国における死亡原因の第1位である。そのため、ラオス保健省は第二次マラリア対策5ヵ月年計画(2001から2005年)を策定し、第一次マラリア対策5ヵ年計画の目標を達成することとしている。
一方、寄生虫対策は、1990年代前半に実施された寄生虫感染実態調査によると、感染率は80%前後と高く、対策が望まれていながらこれまで具体的な方策が取られずに来た。2001年になってようやく、国家保健開発5ヵ年計画(2001から2005年)において学童を対象としたプログラムの実施を計画、WHO(世界保健機関)も2001年10月から学校保健を通した腸管寄生虫対策をビエンチャン県で開始した。
このような状況の下、ラオス政府は、薬剤浸漬蚊帳を用いたマラリア感染予防を主軸とした総合的なマラリア対策および学校保健を通した寄生虫対策を目的とした「マラリア対策(第二次)・寄生虫対策計画」を策定し、この計画のための資機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、約26万人の住民が薬剤浸漬蚊帳を使用することにより、マラリアの感染が予防され、また、学校保健を通した寄生虫対策が行われることにより、約2万5,000人の学童の寄生虫による健康障害が軽減されることが期待される。