
スリランカの「モラトワ大学工学部教育機材整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について
平成14年3月13日
- わが国政府は、スリランカ民主社会主義共和国政府に対し、「モラトワ大学工学部教育機材整備計画」の実施に資することおよび「債務救済のための無償援助」として、5億957万7,000円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡交換が、3月13日(水)、コロンボにおいて、わが方高橋周平在スリランカ臨時代理大使とチャリタ・ラトワッタ大蔵次官(Dr. Charitha Ratwatte, Secretary, Ministry of Finance)との間で行われた。
(1) |
「モラトワ大学工学部教育機材整備計画」 |
供与限度額: |
5億600万円 |
(2) |
「債務救済のための無償援助」 |
供与額: |
357万7,000円 |
- (1)「モラトワ大学工学部教育機材整備計画」
スリランカ政府は2001年に国家10年計画を策定し、経済成長率および国民平均所得増加のために電子・通信・情報技術開発による産業振興を最重要課題の一つとして掲げている。その方針に基づき同国は技術開発を進めてきたが、近年産業界において実践的な技術者の不足が深刻な問題となっている。これは同国の工科系大学の実験機材が量的・質的に限定されているために十分な実験・実習機会を与えられず、学生が企業のニーズ(需要)に応えられないのが主な原因となっている。
このような状況の下、スリランカ政府は同国の2大工学系大学の1つであるモラトワ大学工学部の生徒数を倍増する等教育環境を整備し、その上で産業界のニーズに応える教育活動を実現するため「モラトワ大学工学部教育機材整備計画」を策定し、この計画の実施に必要な実験・実習用機材および運営維持管理用機材の調達のための資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、モラトワ大学の学生らが産業界で強く必要とされている実習経験を授業を通じて得られることによって、卒業生が同分野で将来的に活躍し、ひいてはスリランカの産業界の発展に結びつくことが期待される。
(2)「債務救済のための無償援助」
この無償資金協力は、スリランカ政府が1978年3月31日までにわが国政府と行った円借款取決めに従って締結された借款契約に基づき負っている債務のうち、これまでに返済期限が到来し、かつ、実際に返済された債務の約定利息とより緩和された円借款供与条件に基づく利息の差額の相当額を供与するもので、債務救済措置の一つである。
この無償資金協力により贈与する資金は、スリランカの経済の発展と国民福祉の向上のために必要な生産物の輸入のために使用される。
1978年3月の国連貿易開発会議(UNCTAD)第9回特別貿易開発理事会(TDB)閣僚会議においては、多くの開発途上国が深刻な債務返済問題に直面していることを踏まえ、先進諸国がこれらの開発途上諸国に対する過去の二国間政府開発援助(ODA)の条件を調整する措置、または、その他同等の措置をとるよう努力すべき旨の決議が採択された。今回の無償資金協力は、この決議に基づき、スリランカとわが国との友好協力関係を強化することを目的として、わが国の無償資金協力の一環として実施するものである。