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インドネシアに対する無償資金協力(ノンプロジェクト無償資金協力ほか2件)について

平成14年3月6日

  1. わが国政府は、インドネシア共和国政府に対し、30億円の無償資金協力(ノンプロジェクト無償資金協力)、また、「スラバヤ電子工学ポリテクニック拡充計画」および「ウオノギリ多目的ダム貯水池堆砂緊急対策計画(詳細設計)」の実施に資することを目的として、5億7,700万円を限度とする額の無償資金協力をそれぞれ行うこととし、このための書簡の交換が、3月6日(水)、ジャカルタにおいて、わが方堂道秀明在インドネシア臨時代理大使と先方マカリム・ウィビソノ外務省対外経済関係総局長(Mr. Makarim Wibisono, Director General for Foreign Economic Relations, Department of Foreign Affairs)との間で行われた。

    (1) ノンプロジェクト無償資金協力 30億円
    (2) 「スラバヤ電子工学ポリテクニック拡充計画」
    (Project for Expansion of Electronic Engineering Polytechnic Institute of Surabaya)
    5億3,600万円
    (3) 「ウオノギリ多目的ダム貯水池堆砂緊急対策計画(詳細設計)」
    (Project for Urgent Countermeasures for Sedimentation
     in Wonogiri Multipurpose Dam Reservoir)
    4,100万円


  2. (1)ノンプロジェクト無償資金協力

     インドネシアは1997年の経済危機以降、経済システムの全面的な改革に乗り出し、外国投資環境の整備、非効率経済部門の改善といった経済構造の大幅な調整措置を断行する政策を打ち出した。経済は1998年の?13.2%という大幅なマイナス成長を底に、緩やかながらも回復基調を示している。しかしながら、国内消費、国内・外国投資も危機前の水準には回復しておらず、生活物資の価格高騰、対外債務返済の過重負担等、依然として困難に直面している。
     インドネシア政府は国営銀行の民営化、国営企業の民営化、対外債務問題等の経済構造改善努力を続けており、2001年7月のメガワティ政権発足後、IMF(国際通貨基金)との経済構造調整計画プログラムの第三次、第四次レビューを終えるなど、国際金融機関と連携・協調しつつ、経済構造改善努力を行っている。
     今回のノンプロジェクト無償資金協力は、同国の構造調整計画の実施を支援するもので、インドネシア政府が経済構造改善の推進に必要な商品を輸入する代金の支払いのために使用される。

    (2)「スラバヤ電子工学ポリテクニック拡充計画」

     インドネシア政府は産業界からの実践的管理技術者育成のニーズ(需要)に応えるため、ポリテクニック(工業高等専門学校)教育制度を導入し、全国に工業・農業・商業分野のポリテクニック26校を設立し、さらに2020年までに155校を新設する計画を行っている。しかしながら、ポリテクニック計画の実施上、必要な人数の教員養成が課題となっており、特に電気系の教員数の確保が困難になっている。このような状況の中、インドネシア教育文化省は、電気系分野のポリテクニック教員養成のための人材育成校にスラバヤ電子工学ポリテクニックを指名し、既存の3年制の技術者養成課程ディプロマ3(D3)コースを土台に電子工学・電気工学・通信工学の3分野について新たに4年制の教員養成課程D4コース(大学卒相当)を設置すること、および新たに産情報工学分野の技術者育成のため情報工学分野の技術者養成課程D4コースを設置を行っているが、予算的な制約上、困難な状況にある。
     このような状況の下、インドネシア政府は新規技術者養成課程コース設置のため「スラバヤ電子工学ポリテクニック拡充計画」を策定し、この計画の実施のための関連施設の建設機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。なお、この計画は1999年9月より実施中のプロジェクト方式技術協力と連携の下で実施されるものである。
     この計画の実施により、産業界のニーズにあった電気・電子・通信・情報分野の高度な技術者が輩出されるとともに、卒業生がインドネシア全土のポリテクニックで教鞭をとることにより、次世代の技術者養成が期待される。

    (3)「ウオノギリ多目的ダム貯水池堆砂緊急対策計画(詳細設計)」

     ウオノギリダムはインドネシアの中部・東部ジャワ両州を貫流するソロ川の上流域にわが国有償資金協力により1982年に建設された多目的ダム(ダム高:40m、堤長:830m、ダム形式:ロックフィルタイプ、総貯水容量:7億3,500万m3、有効貯水容量:4億4,000万m3、洪水調節容量:2億2,000万m3)で、ウオノギリ灌漑システム(3万ha)・下流域5県の揚水灌漑対象地(1万4,000ha)の灌漑、12.4MWの発電、周辺3県への生活用水供給、グレシック市への工業用水供給、スラカルタ市(ソロ市)を中心とした地域の洪水調整に大きな役割を果たしている。
     しかしながら、ウオノギリダム流域(面積1,350km2)の7割は耕作地として開発されており、この開発による土壌浸食の増加に伴って貯水池への土砂流入が加速されている。このため、ダムの有効貯水容量は約6割に減じており、また、過去に数回発生した取水口への土砂流入による発電停止等、治水・利水両面への悪影響が生じている。
     このような状況の下、インドネシア政府は「ウオノギリ多目的ダム貯水池堆砂緊急対策計画」を策定し、この計画の浚渫によるダム内の堆砂除去、発電・灌漑用取水口の埋没の防止、当面の貯水池機能確保のための詳細設計に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、当面の灌漑、発電、上工用水の安定供給が確保され、流域住民の農工業をはじめとする社会経済活動へ貢献するとともに、治水上、ダム堤体および流域住民の安全確保が期待される。
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