
パラオの「カヤンゲル州漁業施設改善計画」に対する無償資金協力について
平成14年2月7日
- わが国政府は、パラオ共和国政府に対し、「カヤンゲル州漁業施設改善計画(the Project for Improvement of Fishery Infrastructure in Kayangel State)」の実施に資することを目的として、4億8,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が2月7日(木)、コロールにおいて、わが方長谷川恵一在パラオ臨時代理大使と先方テミー・シュムール国務大臣(Mr. Temmy E. Shmull, Minister of State)との間で行われた。
- 独立後間もない(1994年10月独立)パラオは、人口が少なく、国土面積が限られているという状況の下、経済自立を図るため観光資源と水産資源を主要収入源として掲げ、それらの開発を目指している。カヤンゲル州は、首都から船で3時間(83km)の同国北部に位置する離島で、同州へのアクセスは海上交通のみである。同州の主要産業は漁業で、水産物の陸揚げや出荷は、カヤンゲル島中央部にある唯一の桟橋施設において行われている。この桟橋施設は、物流拠点としての機能も担っており、海上交通のみに依存するカヤンゲル州にとっての生命線とも言える。
しかし、本桟橋は、沖だし距離が十分でないことから岸壁の水深が不足し、漁船等船舶の接岸が潮位に大きく左右されるとともに、施設の老朽化が問題になっており、漁船の出漁や水産物の陸揚げ等の漁港機能および一般船舶の接岸や貨物の荷役等の活動にも支障をきたしている。また、環礁内に入港するためのアクセス水路は、航路水深の不足によって潮位が低いときは、漁船や一般船舶の航行が制限されている。
このような状況の下、パラオ政府は、カヤンゲル州において桟橋施設等の改修を行い、漁船をはじめとする船舶が潮位、時間等に左右されない安全な入出港を可能とすることを目的とした「カヤンゲル州漁業施設改善計画」を策定し、この計画の実施のための桟橋施設、航路標識、水路の改修に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、カヤンゲル州に関連した漁船をはじめとする船舶が潮位、時間等に拘らず安全に入出港することが可能となり、岸壁における作業が効率的になることが期待される。