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セネガルの「カオラック中央魚市場建設計画」ほか3件に対する無償資金協力について

平成14年2月5日

  1. わが国政府は、セネガル共和国政府に対し、「カオラック中央魚市場建設計画」、「国立保健医療・社会開発学校整備計画(詳細設計)」、「セクタープログラム無償資金協力」および「食糧援助」として、総額19億7,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が2月4日(日本時間5日)ダカールにおいて、わ が方古屋昭彦在セネガル大使と先方アブドゥライ・ディオップ経済・財政大臣(Monsieur Abdoulaye DIOP, Ministre de l'Economie et des Finances)との間で行われた。

    (1) 「カオラック中央魚市場建設計画」
    (Projet de construction du Marche Central au Poisson de Kaolack)
    供与限度額:7億1,200万円

    (2) 「国立保健医療・社会開発学校整備計画(詳細設計)」
    (Projet de construction d'un bloc scientifique polyvalent et de fourniture d'equipement a l'Ecole nationale de developpement sanitaire et social)
    供与限度額:6,700万円

    (3) 「セクタープログラム無償資金協力」
    供与限度額:10億円

    (4) 「食糧援助」
    供与限度額:2億円


  2. (1)「カオラック中央魚市場建設計画」

     セネガルでは、漁業は国民への重要な動物性タンパク質の供給源であるのみならず、雇用機会の提供等同国経済を支える重要な産業であり、漁業の開発・振興が国家開発計画の優先項目の一つとなっている。カオラックは、セネガル第二の都市で、周辺人口を合わせると110万人を擁する大消費地となっている。また、内陸部および隣国ガンビア等への交通の要所となっており、水産物の中継市場としても重要な機能を果たしている。
     しかし、既存の魚市場には、日中の最高気温が40度を超すこともある過酷な気候条件にも拘わらず日除けや施氷といった最小限の鮮度維持手段さえない上、排水設備は未整備であり、かつ、ハエが大量に発生している等劣悪な衛生状況になっている。このような環境の中、水産物の劣化速度は加速され水産物に対する需要があっても食用に適する鮮魚が住民に行き届かない状況となっている。
     このような状況の下、セネガル政府は、同国内陸部およびカオラック州内に流通する水産物の品質劣化防止、鮮度保持の向上および水産物の安定供給を目的とする「カオラック中央魚市場建設計画」を策定し、この計画のための水産流通施設、関係機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、カオラック周辺およびセネガル内陸部に新鮮な水産物が安定的に供給されることが期待される。

    (2)「国立保健医療・社会開発学校整備計画(詳細設計)」

     セネガル政府は、経済・財政の健全化をめざして厳しい緊縮財政政策をとってきているが、保健・医療政策に関しては高い優先度がおかれており、1998年に国家開発政策および保健分野投資計画を策定して、各援助国(ドナー)の支援を受けつつ、保健・医療環境の改善を推進してきている。わが国も、平成13年11月より5年間の予定で「保健人材開発促進プロジェクト」を開始し、看護士、助産婦等を派遣してプロジェクト方式技術協力を行っている。
     しかしながら、現在、看護士/婦、助産婦、薬剤師、歯科技工士、放射線技師等の医療従事者の不足が、同国の保健・医療体制上の深刻な問題となっている。こうした医療従事者を新規養成・研修(再教育)する公的機関としては、唯一「国立保健医療・社会開発学校(ENDSS)」が存在するが、1992年に設立された同校には、現在のところ、保健科学基礎、保健科学専門および社会科学の3分野14コースが開設されているのみであり、求められている人材養成に必要な機材も十分に揃っているとはいえず、また、同校が受入可能な生徒数はセネガル全体の需要に追いついていない。そのうえ、現在、医療従事者の約46,5%が首都圏(ダカール州)に集中しているため、地方における人材不足が深刻化しており、早急な手立てが必要となっている。
     このような状況の下、セネガル政府は1997年、同国唯一の公的医療従事者養成・研修機関であり、周辺国からも多数の留学生を受け入れている「国立保健医療・社会開発学校」を拡充することを目的とした「国立保健医療・社会開発学校整備計画」を策定し、この計画のための詳細設計に必要な資金につき、わが国政府に対して、無償資金協力を要請してきたものである。

    (3)「セクタープログラム無償資金協力」

     セネガルは、1994年1月のCFAフラン(西アフリカ諸国共通通貨)切り下げ以降も世界銀行・IMF(国際通貨基金)の支援を受けて緊縮財政政策をとるとともに、積極的に構造調整に取り組んでいる。
     しかしながら、就業人口の7割近くが農業に従事している同国においては、輸出用農産物の価格の動向が経済を左右し、主要輸出産品である落花生等一次産品の価格の低迷は、原油価格の高騰と相俟って国際収支赤字の拡大に繋がっており、財政赤字、国際収支赤字、対外債務問題が恒常化している。
     今回のセクタープログラム無償資金協力は、同国政府の経済の再建および政治的安定を図るため、構造改善努力の推進に必要な商品の輸入代金支払いのために使用される。なお、商品の民間売却後に現地通貨で積み立てられた見返り資金は、同国の保健分野の事業の実施のために使用される。

    (4)「食糧援助」

     セネガルは、サヘル地域に属しており、降雨が不規則な上に降雨量も減少していることから近年砂漠化が進行し、耕作地が減少しているため、食糧生産に大きな影響が出ている。加えて、害虫・害鳥等による被害のため、食糧生産は低迷している。そのため、政府は肥料による生産性の向上、害鳥・害虫等の駆除強化、農民に対する農業機械の供与等により食糧生産の向上に努めているが、高い人口増加(約3,0%)により増大する食糧需要に食糧生産が追いつかず、深刻な食糧不足が続いている。
     このような状況の下、セネガル政府は食糧不足に伴う米の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
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