
ラオスの「ワット・プー遺跡保存環境整備計画」に対する文化遺産無償について
平成14年1月25日
- わが国政府は、ラオス人民民主共和国政府に対し、「ワット・プー遺跡保存環境整備計画」(the Project of Preparation for Conservation of Vat Phou Archaeological Site)の実施に資することを目的として、2億4,460万円を限度とする額の文化遺産無償を行うこととし、このための書簡の交換が1月25日(金)、ビエンチャンにおいて、わが方宮本吉範在ラオス大使と先方ポンサワット・ブーパ外務副大臣(H. E. Phongsavath Boupha, Vice Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
- ラオスのワット・プー遺跡は、5世紀から12世紀にかけメコン川流域に栄えたアンコール期のクメール様式の石造建造物で構成され、歴史的・考古学的に貴重な遺跡であり、昨年12月には世界遺産への登録も決定された。同遺跡は、背後にある急峻な山より流下する雨水の浸入によって遺跡の基礎部分が破壊され、遺跡全体が崩壊の危機に瀕している。
ラオス政府は、同遺跡救済のため国際社会へ援助を要請し、これまでわが国はユネスコ文化遺産保存日本信託基金を通じ環境管理計画の策定等を行ってきた。ラオス政府はこうした管理計画に基づき同遺跡の保存に向け努めているが、遺跡崩壊の防止に必要な設備や機材ならびに人材が不足しているのが現状である。
このような状況の下、ラオス政府は、「ワット・プー遺跡保存環境整備計画」を策定し、この計画のためのワット・プー遺跡の崩壊防止および保存に必要な排水施設および出土品保管庫の建設ならびに遺跡の調査・計測・記録用機材を整備するために必要な資金につき、わが国政府に対して文化遺産無償を要請してきたものである。
- 文化遺産無償は、人類共通の財産である文化遺産の保存・活用のために開発途上国が行っている活動を支援するため、平成12年度より導入されたものである。