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ネパールの「カトマンズ上水施設改善計画(1/2期)」ほか2件に対する無償資金協力について

平成13年12月27日

  1. わが国政府は、ネパール王国政府に対し、「カトマンズ上水施設改善計画 (1/2期)」、「食糧増産援助」および「債務救済のための無償援助」のために、合計 25億7,804万6,000円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月27日(木)、カトマンズにおいて、わが方神長善次在ネパール大使と先方 ビマル・プラサド・コイララ大蔵省事務次官(Mr. Bimal Prasad Koirala, Secretary, Ministry of Finance, His Majesty's Government of Nepal)との間で行われた。

    (1) 「カトマンズ上水施設改善計画(1/2期)」
    (the project for Improvement of Kathmandu Water Supply Facilities)
    供与限度額 10億4,000万円
    (2) 「食糧増産援助」BR> (Grant Aid for Increased Food Production)
    供与限度額 7億円
    (3) 「債務救済のための無償援助」BR> (Grant Aid for Debt Relief)
    供与額 8億3,804万6,000円


  2. (1)「カトマンズ上水施設改善計画(1/2期)」

     ネパール政府は、基礎生活分野の環境改善の一環として、国民に良質な水を供給するための上水道整備事業を推進しており、現在の給水率は都市部72%、農村部34%となっている。しかし、特に近年人口増加が著しいカトマンズ盆地においては、給水の量および質が低下し、給水がなされている地域でも1時間から4時間の時間給水となっている。
     こうした状況を踏まえ、わが国は、1990年にカトマンズ盆地内の水源拡張と水管理計画策定に関する開発調査を実施し、8カ所の配水池設置、浄水場建設等の計画を提言した。しかし未だ3カ所の浄水場等の整備が具体的な計画に移されておらず、カトマンズ盆地の安定給水を実現するに至っていない。このような状況の下、ネパール政府は「カトマンズ上水施設改善計画」を策定し、この計画のための未実施の3計画のうちの2計画、マノハラ川を水源とする新たな浄水場等の建設および既存のシャイブー配水場の配水池等の増設につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画では、第一期でマノハラ浄水場の建設等を行い、第二期でシャイブー配水池の増設等を行う。
     この計画の実施により、カトマンズ盆地の一人一日当たり給水量は47リットルから71リットルに向上し深刻な給水事情が緩和されるほか、ネパール国民全体の最大の関心事である首都カトマンズ地域の深刻な給水事情を改善することにより、ネパール全体への日本の援助のPRが図られる。

    (2)食糧増産援助

     ネパールは、就労人口の約8割が農業に従事し、GDP(国内総生産)の約4割が農業生産によって占められる農業国である。国土の約8割が山岳地帯であり、耕地は国土の約2割を占めているが、農業生産基盤が未整備であること、急激な人口の増加などにより、生産量が需要に対し十分ではなく、また、生産量が天候に大きく左右される状況にあることから、食糧増産の必要性は緊急の課題となっている。
     ネパール政府は農業長期展望20カ年計画(1995から2014)において、持続的な経済成長、貧困緩和、地域格差の是正を目的とし、そのための具体的施策として農業生産性の増大と作物栽培の多角化を掲げている。
     このため、ネパール政府は肥料による単収増加および井戸灌漑の推進による「食糧増産計画」を策定し、この計画の実施に必要な肥料等の購入のための資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

    (3)債務救済のための無償援助

     この無償資金協力は、ネパール政府が1988年3月31日までにわが国政府と行った円借款取決めに従って締結された借款契約に基づき負っている債務のうち、平成13年10月31日にまでに返済期限が到来した元本および約定利息に相当する額を供与するもので、債務救済措置の一つである。
     この無償資金協力により贈与する資金は、ネパールの経済の発展と国民福祉の向上のために必要な生産物等の購入のために使用される。
     1978年3月の国連貿易開発会議(UNCTAD)第9回特別貿易開発理事会(TDB)閣僚会議においては、多くの開発途上国が深刻な債務返済問題に直面していることを踏まえ、先進諸国がこれらの開発途上諸国に対する過去の二国間政府開発援助(ODA)の条件を調整する措置、または、その他同等の措置をとるよう努力すべき旨の決議が採択された。今回の無償資金協力は、この決議に基づき、ネパールとわが国との友好協力関係を強化することを目的として、わが国の無償資金協力の一環として実施するものである。
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