
アルメニアの「医療機材改善計画」に対する無償資金協力について
平成13年12月20日
- わが国政府は、アルメニア共和国政府に対し、「医療機材改善計画」の実施に資することを目的として、4億9,500万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月20日(木)、東京(外務省)において、わが方田中眞紀子外務大臣とコチャリャン大統領の公式訪問に随行して訪日中の先方ヴァルダン・オスカニアン外務大臣(Vardan OSKANYAN, Ministerof Foreign Affairs)との間で行われた。
- アルメニアは、ソ連邦の崩壊により独立して以降、大地震に見舞われたことやナゴルノ・カラバフ紛争の影響により社会経済状況が悪化し、保健医療分野も大きな影響を受け国民の健康を守る体制が弱体化したため、貧困層、婦女子、老人等社会的弱者を念頭においた保健医療体制の速やかな整備が望まれてきた。
こうした状況を踏まえて、アルメニア政府は、90年代半ばに「国家保健制度開発改革プログラム(1996年から2000年)」を、さらに2001年6月には「保健制度最適化プログラム」を策定し、医療サービスの質の向上を目指しているが、厳しい財政事情から、老朽化した機材の更新等が進まず、困難が続いている。
なかでも小児救急病院、ノーク感染症病院、共和国結核病院の3病院は、公的医療サービスにおいて特に優先度の高い小児診療および感染症のための医療施設である。このうち小児救急病院は、小児対象の施設の中で最も幅広いサービスを供給している総合病院であり救急患者も受け入れている。ノーク感染症病院は、国内唯一の感染症専門病院であり、通常の診療活動のほか、地方医療施設での診断治療も実施している。共和国結核病院は国内の結核対策の要の機関であり、治療行為のほか、各地の結核治療のための指導を行っている。これらの病院ではいずれも、機材の老朽化が進んでおり、医療機材の更新が早急に求められている
このような状況の下、アルメニア政府は、「医療機材改善計画」を策定し、この計画の実施のための医療機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 今回の機材整備により、対象医療施設における検査体制が整備され、的確な診断治療を効果的に行うことが可能になり、アルメニア国内における医療サービスの質が向上することが期待される。