
ベトナムの「麻疹抑制計画」に対する無償資金協力について
平成13年12月14日
- わが国政府は、ベトナム社会主義共和国政府に対し、「麻疹抑制計画(the project for accelerated Measles Control)」の実施に資することを目的として、6億2,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月14日(金)、ハノイにおいて、わが方山崎隆一郎在ベトナム大使と先方ドー・グエン・フォン保健大臣(Mr. DO NGUYEN PHUONG, Minister of Health)との間で行われた。
- ベトナム政府は、保健分野の開発目標として疾病予防の質の向上を提唱しており、中でも、乳児・幼児死亡率を引き下げるとともに、伝染病疾患の罹患率・死亡率を引き下げ、伝染病の流行を抑止することを重要課題としている。こうした開発目標のもと、ベトナム政府は、1981年よりWHO(世界保健機構)が立案した予防接種拡大計画(EPI)を実施し、6大疾患(ポリオ・ジフテリア・百日咳・破傷風・結核・麻疹)ワクチンの予防接種を実施してきている。この結果、麻疹の罹患・死亡件数は急激に減少し、1985年には8万2,000件あった発症例は、10年後には6,000件の水準まで低下した。
しかしながら、近年、接種率は高い水準に維持されているにもかかわらず、罹患率は増加に転じ、1999年には1万3,604件に達した。保健省の調査によれば、1997年以降の増加は主に5歳から14歳までの子供の罹患によるものが多いことが判明している。
このような状況の下、ベトナム政府は、幅広い年齢層の子供を対象とした全国規模の麻疹接種キャンペーンを実施するとともに、WHO西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)が提唱した定期接種を2回制に移行することで麻疹抑制を図ることとした。具体的には、定期予防接種における麻疹の2回接種制を2004年から段階的に導入し、2008年には全国の子供に実施されるようにし、これに先駆け、生後9カ月から10歳未満児を対象とする麻疹ワクチン2回接種キャンペーンを全国規模で展開するという戦略である。
このためベトナム政府は「麻疹抑制計画」を策定し、この計画のための中・南部地方を対象としたワクチン、注射器等の資機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、ベトナム児童約2,000万人が裨益し、ベトナムにおける麻疹の流行が抑止され、制圧に大きく近づくことができるとともに、今回のキャンペーンはカンボジア、ラオスとの協調により実施されることから、ベトナムのみならずインドシナ地域全体の麻疹制圧に大きな効果を有することになる。
なお、平成12年度には北部地方について実施している。