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フィリピンの「北部ルソン地方道路橋梁建設計画(1/2期)」ほか1件に対する無償資金協力について

平成13年12月13日

  1. わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「北部ルソン地方道路橋梁建設計画(1/2期)」および「水産養殖高等技術研究設備設置計画」の実施に資することを目的として、総額16億1,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、12月13日(木)、マニラにおいて、わが方荒義尚在フィリピン大使と先方テオフィスト・ギンゴナ副大統領兼外務長官(Teofist T. Guingona Jr., Vice President and Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。

      案件名 供与限度額
    (1) 「北部ルソン地方道路橋梁建設計画(1/2期)」
    (The Project for Construction of Bridges along Rural Roads in Northern Luzon)
    供与限度額  7億1,700万円
    (2) 「水産養殖高等技術研究設備設置計画」
    (The Project for Establishment of Laboratory Facilities for Advanced Aquaculture Technologies)
    供与限度額  8億9,500万円


  2. (1)「北部ルソン地方道路橋梁建設計画(1/2期)」

     フィリピン政府は、インフラ整備による都市・地方間の格差是正を目標の一つとして掲げ、貧困撲滅、雇用機会の増大に取り組んでいる。その中でも、地方部において住民の移動と物資の輸送に利用される地方道路網の整備は重要であるが、地方道路は舗装の遅れと並んで橋梁の未整備が大きな問題となっている。フィリピンには中小の河川が多く流れており、道路交通は多くの箇所で河川横断が必要となるが、現状では木橋、仮設橋が多く、雨期の増水で流失することもあり、住民の移動や農作物の出荷、生活必需品等の輸送に大きな支障を来している状況にある。
     このような状況の下、フィリピン政府は「北部ルソン地方道路橋梁建設計画」を策定し、この計画のための橋梁用鋼材の調達および技術的に施工の難しい橋梁の建設に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、フィリピンの中でも貧しい地域であり開発が遅れている北部ルソン地方において、地域間の人の移動および物流を常時確保する橋梁が整備され、対象地域において住民の生活環境改善や地域経済の発展が図られ、フィリピンにおける地域間格差是正にも寄与することが期待される。

    (2)「水産養殖高等技術研究設備設置計画」

     フィリピン政府は、全就業者の約40%が従事している農水産業部門を主とした地方経済の発展による貧困削減を目標の一つとして掲げている。漁業部門では水産開発計画(1999から2004年)を策定し、養殖生産性の向上、漁業・水産資源の保護と持続的管理、零細漁民の貧困削減と生活支援等を主要課題とし、この理念に沿って水産業の振興を図るべく努力している。
     フィリピンにおける漁業は、商業漁業、小規模漁業、養殖漁業に三分され、商業漁業および小規模漁業の生産量は頭打ちとなっている中、養殖漁業はこれまで順調に生産量を伸ばしており、今後の人口増加に対応する生産増が期待される分野である。しかしながら、近年の養殖漁業分野では養殖飼料や集約飼育が原因と見られる養殖池の水質悪化、エビ養殖におけるウィルス汚染等の事例が散見され、一部では生産効率が低下するなど、今後の生産性向上の妨げになる問題も発生している。これらの問題解決に対応できる同国で唯一の魚類養殖研究機関として東南アジア漁業開発センター養殖部局(SEAFDEC/AQD)が存在するが、施設および機材の老朽化により、十分な研究活動が実施できない状況にある。
     このような状況の下、フィリピン政府は養殖漁業の抱えている問題を解決し、水産開発計画で掲げる養殖漁業生産の増加、国民への魚類蛋白の安定供給を図るため「水産養殖高等技術研究設備設置計画」を策定し、この計画のためのSEAFDEC/AQDの施設の改善および機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、フィリピンにおける養殖生産量の増加および漁民の収入増加と生活向上が図られることに加え、東南アジア各国から研修生を受け入れることにより、SEAFDEC/AQDの研究成果が各国に広がり、東南アジア地域における養殖技術が向上する効果も期待される。
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