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フィリピンの「辺境地農地改革地区開発事業計画」ほか1件に対する無償資金協力について

平成13年9月3日

  1. わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「辺境地農地改革地区開発事業計画」および「ノンプロジェクト無償資金協力」の実施に資することを目的として、総額27億1,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、9月3日(月)、マニラにおいて、フィリピン訪問中の杉浦正健外務副大臣立ち会いの下、わが方荒義尚在フィリピン大使と先方テオフィスト・ギンゴナ副大統領兼外務長官(Teofist T. Guingona Jr.,Vice President and Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。

      案件名 供与限度額
    (1) 「辺境地農地改革地区開発事業計画」  7億1,100万円
    (The Project for Development of Agrarian Reform Communities in Marginal Areas)
    (2) 「ノンプロジェクト無償資金協力」  20億円
    (Non-Project Grant Aid)


  2. (1)「辺境地農地改革地区開発事業計画」

     フィリピン政府は、2000年までに同国全人口の約40%を占める土地無し農民に対して国土面積の3分の1に相当する土地を配分し、農民が配分農地で生計を立てていけるようにするために、農村インフラ整備、農民組織づくり、営農普及等の様々なサービスを提供して農民を支援する「包括的農地改革計画」を策定した。しかしながらフィリピン政府の予算上の制約により計画は遅れており、期限は2008年まで延長されたものの、特に辺境地域については生活基盤も未整備であり、農民支援サービスもなかなか行き渡らない状況にある。
     このような状況の下、フィリピン政府は「辺境地農地改革地区開発事業計画」を策定し、この計画のための収穫後処理施設や給水施設等の建設および周辺道路の改修に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、対象地区における社会経済の活性化、水供給等の衛生面の改善に大きく貢献するだけでなく、全国に多数存在する辺境地のモデル事業として土地無し農民の生活水準を向上させることによって、全国の貧困撲滅にも寄与することが期待される。

    (2)「ノンプロジェクト無償資金協力」

     フィリピンは、1992年6月に成長志向型の「中期経済開発計画」を策定し、経済構造改革を推進しつつ、外貨導入および輸出主導による高度成長を現出した。しかしながら、97年7月のタイ・バーツの下落に端を発したアジア通貨危機の影響により、現地通貨ペソや株価が暴落し、98年のGDP(国内総生産)成長率はマイナス成長を記録した。
     現在は、農業生産の復調や製造業部門の好調もあり、フィリピン経済は回復基調にあるが、財政収支の悪化、投資の伸び悩み、失業問題、さらに増大するインフレ再燃の可能性等、同国では改善すべき課題が山積している。
     このような状況の下、フィリピン政府は世界銀行、アジア開発銀行等と協調、連携しつつ、経済構造改善努力を継続中である。この経済構造改善努力を支援するため、わが国政府はフィリピン政府に対し、「ノンプロジェクト無償資金協力」を実施するものである。 この資金は、フィリピン政府による同国における経済構造改善努力推進に必要な商品の輸入代金支払のために使用される。これによって、フィリピンにおける経済の安定、財政の健全化に寄与することが期待される。
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