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ウズベキスタンの「救急科学センター機材整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について

平成13年8月21日

  1. わが国政府は、ウズベキスタン共和国政府に対し、「救急科学センター機材整備計画」および「人材育成奨学計画」について、総額11億7,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月21日(火)、タシケントにおいて、わが方中山恭子在ウズベキスタン大使と先方カラマトフ・ハミドゥッラー・サドゥッライェヴィッチ副首相(Mr. Karamatov Khamidulla Sadullayevich, Deputy Prime Minister of the Republic of Uzbekistan)との間で行われた。

    (1) 「救急科学センター機材整備計画」 供与限度額 7億9,300万円
    (The Project for Upgrading the Emergency Medical System in Tashkent City)
    (2) 「人材育成奨学計画」 供与限度額 3億8,300万円
    (The Project for human resource development scholarship)


  2. (1)「救急科学センター機材整備計画」
     ウズベキスタンでは、1991年の旧ソ連からの独立以降、市場経済化への移行に伴う過渡期の混乱から、特に経済の低迷、インフレ、新通貨の不安定化を引き起こしている。このような経済状況の悪化は、同国の保健システムにも悪影響を与えており、保健医療予算の財源不足によって、同国の各医療機関は、医薬品、医療機材の不足および老朽化といった深刻な問題を抱え、医療サービス水準が低下している。このような状況に対処するため、ウズベキスタン政府は、限られた予算の有効活用と医療サービス水準の向上を目指した「保健制度改革プログラム」を策定し、大統領令を発出した。このプログラムの主要な課題には、有料診療制度の導入、病院の統廃合、救急医療の再構築などが挙げられている。
     この大統領令に基づいて、効率的な救急医療体制を再構築していくために、同国では全国12州に救急医療サービスを集中的に行う各州の救急医療センターを設置し、更にタシケント市および全国的な救急医療体制の中核的医療施設として救急科学センターを整備することを計画してものの、逼迫する医療予算の中で十分な整備が進められない状況にある。
     このような状況の下、ウズベキスタン政府は、「救急科学センター機材整備計画」を策定し、この計画のための救急医療の中核的医療施設である救急科学センターにおける医療機材の整備に必要な資金について、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、タシケント市における救急医療体制の要として、多くの緊急患者に対し迅速かつ適切な治療を施すことが可能となり、ウズベキスタンにおける保健医療サービスの改善が期待される。

    (2)「人材育成奨学計画」
     ウズベキスタンでは、現在、旧ソ連の閉鎖的社会主義的体制からの脱却に力点が置かれており、1997年10月には、教育制度の抜本的な改革、旧来の思考体系からの脱却、市場経済化に対応できる高度な人材育成を行うことを主眼とする国家教育制度の確立を最重要項目として掲げる「国家人材育成構想」を策定した。
     この計画の一環として、ウズベキスタン政府は、独自の留学制度により学生および教員の育成に努めているが、依然として、多様化する開発ニーズに合致した教育環境が整備されておらず(旧ソ連時代の授業形態の継承)、近年の市場経済化、近代化等への対応が十分進められない状態にある。
     このような状況の下、ウズベキスタン政府は、人材育成における留学制度の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画のための現地における事前教育、渡航費、滞在費、学費等に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     本件は、こうしたウズベキスタン政府の要請に対し、一般無償資金協力の枠内で導入されている留学生支援無償から支援を行うものである。これにより、既に日本に留学している留学生40名および来年度新たに日本に留学する約20名の学生が支援を受けることになる。
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