
中国の「北京日本学研究センター拡充計画」に対する無償資金協力について
平成13年8月3日
- わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「北京日本学研究センター拡充計画(the project for Development of the Beijing Center for Japanese Studies)」の実施に資することを目的として、8億5,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月3日(金)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方龍永図対外貿易経済合作部首席交渉代表(Long Yongtu, Chief Representative for Trade Negotiation, Ministry of Foreign Trade and Economic Cooperation)との間で行われた。
- 北京日本学研究センター(以下「センター」)は、中国における日本語・日本研究、日本との交流に携わる人材の養成を目的として、国際交流基金および中国教育部双方の協力により、1985年に設立された教育・研究機関である。(前身は1980年に創立された「日本語研修センター」(通称「大平学校」))
このセンターは、設立から今日に至るまで、日中双方の研究者の率直な意見交換、共同作業のもと様々な実績を積み重ねており、これまで修士課程終了者約300名、博士課程修了者約40名、日本語研修生約300名を輩出し、中国における日本研究の中心的な役割を担っている。センターの卒業生は現在中国各地方の日本語教師などとして活躍している。しかし、センターは、北京外国語大学の第2教学楼内に1950年代に建設された建物を使用しているが、老朽化が著しく、また、中国で最も多く日本関係図書を所蔵する図書館の安全性にも不安があり、新施設の建設が強く求められていた。
このような状況の下、中国政府は、平成11年7月の日中首脳会談(小渕恵三元総理訪中時)において日中の知的分野での交流を促進することが合意されたことを踏まえ、センターの教育、研究環境の向上と、学術共同利用機関としての機能の強化を目的とする「北京日本学研究センター拡充計画」を策定し、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、日本語や日本文化を学ぶ学生のための自習室やコンピュータ室、一般の方にも開かれた図書情報資料館、センターの活動を対外的に示す場としてのホールなどを備えた、日本学研究の中核としてふさわしい施設が新たに建設され、中国における日本研究の充実、日本を理解する人材の育成、日中の知的交流の深化が期待される。