
ボスニア・ヘルツェゴビナの「初等学校建設計画」に対する無償資金協力について
平成13年7月5日
- わが国政府は、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府に対し「初等学校建設計画」 (Project for Construction of Basic Schools)の実施に資することを目的として、9億9,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、7月5日(木)、サラエボにおいて、わが方伊集院明夫在ボスニア・ヘルツェゴビナ大使と先方ズラトコ・ラグムジヤ外務大臣(Dr. Zlatko Lagumdzija, Minister of Foreign Affairs of Bosnia and Herzegovina)との間で行われた。
- 紛争前のボスニア・ヘルツェゴビナでは、8年間の初等教育がほぼ完全に普及し、その教育システムの水準は高いものであった。しかし、92年から95年にかけての4年間におよぶ内戦の結果、戦闘の直接被害による崩壊、地雷などの敷設による使用不能、戦時中には野戦病院などの他の目的に使用されたり、不十分な維持管理により損壊するなど、教育施設が多大な被害にあったほか、国内外への避難民の移動による人口の変動のため、戦前と同様のシステムを維持することが困難となった。特に、人口の変動の多い地区では、未だ二部制、三部制の授業が行われていたり、教育施設として適切ではない仮校舎の使用を余儀なくされている。
このような状況の下、ボスニア・ヘルツェゴビナ政府は、同国の教育施設の再建のために、初等教育施設の建設および必要な教育備品の整備を内容とする「初等学校建設計画」を策定し、この計画実施のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。この計画は二期に分け校舎の増築・新築が実施される予定であり、今回は、対象とする5校の普通教室を合計43教室増築する。
- この計画の実施により、三部制授業が解消、仮教室が廃止され、多くの児童が適切な環境で授業を受けることが出来るようになることが期待される。また、学校の新設により遠距離通学の負担が解消されるとともに、新たな就学者の受け入れが容易になることも期待される。