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モザンビークの「ザンベジア州地下水開発計画」ほか2件に対する無償資金協力について

平成13年6月28日

  1. わが国政府は、モザンビーク共和国政府に対し、「ザンベジア州地下水開発計画」、「ショクエ灌漑システム改修計画」および「マプト市小・中学校建設計画」に資することを目的として、総額28億200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が6月28日(木)、マプートにおいて、わが方野瀬芳宏在モザンビーク 大使と先方レオナルド・サントス・シマン外務協力大臣(His Excellency Dr. Leonardo Santos Simao, Minister of Foreign Affairs and Cooperation of the Republic of Mozambique)との間で行われた。

    (1) 「ザンベジア州地下水開発計画」
    (Project for Groundwater Development for Rural Water Supply in Zambezia Province)
    5億700万円
    (2) 「ショクエ灌漑システム改修計画」
    (Project for Rehabilitation of Chokwe Irrigation Scheme)
    13億1,100万円
    (3) 「マプト市小・中学校建設計画」
    (Project for Construction of Primary and Secondary Schools in Maputo City)
    9億8,400万円


  2. (1)「ザンベジア州地下水開発計画」

     モザンビークの中部に位置するザンベジア州地方部の給水事情は、州全体の給水率が14%と全国平均の30%と比較して極端に低く劣悪であり、五カ年計画(2000年から2004年)ではこれを30%程度まで改善することを目的としている。特に、8郡(グルエ、アルト・モクロエ、ナマロイ、イレ、ミランジ、ジレ、モクバ、ルジェラ)の丘陵地帯では内戦時に激しい戦闘が繰り返されたことから、多くの井戸が破壊され放置されたままである。このため、住民は付近の小河川、泉、ハンドホール(雨水やくみ出した水を溜めるために住民が掘った深さ1~2mの手掘りの穴)を利用している。モザンビーク保健省のデータベース(2000年)によると、ザンベジア州の下痢発生率は約5万9,000件、赤痢の発生件数は約9,600件とモザンビークの中でも際立って多く、衛生状況改善の観点からも給水状況の改善が急務となっている。
     このような状況の下、モザンビーク政府は、「ザンベジア州地下水開発計画」を策定し、この計画のためのザンベジア州北部8郡において148カ所の井戸建設、13カ所の既存井戸のハンドポンプ付け替えおよび井戸掘削に必要な資機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、対象地域の住民7万4,000人に対し、安全な水が安定的に供給されることになり、住民の生活水準が向上し、水因性疾患の予防等住民の衛生環境改善に寄与することが期待される。

    (2)「ショクエ灌漑システム改修計画」

     モザンビークの国土面積は約80万平方キロメートル(8,000万ヘクタール)あり、そのうち3,600万ヘクタールが可耕地と言われている。現在の耕作地は約400万ヘクタールであり、全可耕地の約11%に過ぎない。収量に関しては、全国的に栽培技術が労働集約的な農法に準じており、肥料・農薬・優良種子の利用が一般的ではないため単位収量は概して低い。同国の灌漑可能面積は340万ヘクタールと言われているが、実際の灌漑受益値は3万8,000ヘクタールに満たない。
     全国を対象とした食糧自給状況に関する調査の結果を見ると、主要食糧の自給状況は年々改善されている。しかしながら、余剰があるのは全国129県の7割に満たず、貿易収支総額の約14%が農産物輸入に占めるなど、依然として食糧安全保障が大きな課題となっている。
     このような状況の下、モザンビーク政府は、ガザ州ショクエ地区において、同国最大の既存灌漑システムの機能を早期回復させるための「ショクエ灌漑システム改修計画」を策定し、この計画の実施に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。
     この計画の実施により、既存のショクエ灌漑システム(受益面積約2万6,030ヘクタール)の灌漑に必要な流量が確保され、これにより受益農地において、周年灌漑が可能となることにより、作付け率や単収が向上し、農家の収入、食糧自給率の向上が期待できる。

    (3)「マプト市小・中学校建設計画」

     モザンビークでは、長引く内戦の時代が続き、社会インフラの破壊や組織の弱体化、人材レベルの低下などを引き起こし、終戦後の現在でも社会経済発展の大きな支障となっている。首都マプト市では経済的な理由や洪水被災民の流入により人口が増加しており、加えて内戦中に修繕や改修がなされなかったため、学校の施設の傷み方が激しく、教師不足の状況が他地域に比べて著しい。このため、ほとんどの小学校で三部制授業を余儀なくされ、授業時間の縮減により教育課程の未消化や内部効率の低下等を引き起こしている。
     中等教育の分野では、経済の復興に伴い増大する中等教育修了者への雇用の要望や、初等教育分野の整備に伴い増大する中学校への進学の要望に対し施設が不足していることが問題となっている。
     このような状況の下、モザンビーク政府は、マプート市の初等教育環境を改善するための「マプト市小・中学校建設計画」を策定し、この計画のための小学校および中学校の整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきた。
     この計画の実施により、小学校については、5校新設、2校の建て替えにより、計112教室が新設され、1万1,200人の生徒の教育環境が改善される。計画対象地域周辺の既存校では計画校に生徒が移ることで、194教室において3部制授業が解消され、1万9,400人の生徒の教育環境が改善される。中学校においては、2校24教室の新設により、1,920人の就学機会の増大が期待できる。
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