国別地域別政策・情報 国別約束(年度別交換公文(E/N)データ)

中国の「黄河中流域保全林造成計画」ほか1件に対する無償資金協力について

平成13年6月15日

  1. わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「黄河中流域保全林造成計画」および「第二次環境情報ネットワーク整備計画」の実施に資することを目的として、総額18億4,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月15日(金)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方龍永図対外貿易経済合作部首席交渉代表(Long Yongtu, Chief Representative for Trade Negotiation, Ministry of Foreign Trade and Economic Cooperation)との間で行われた。

    (1)「黄河中流域保全林造成計画」
     (the project for Afforestation for Conservation of Middle Stream of Huang He )
     供与限度額 7億9,600万円

    (2)「第二次環境情報ネットワーク整備計画」
     (the project for Improvement of Environmental Information Network (Phase II))
     供与限度額 10億5,100万円

  2. (1)「黄河中流域保全林造成計画」

     中国には1億6,000万haの砂漠を含む2億6,000万haの荒廃地が存在する。特に黄土高原を中心とした黄河中流域では4,300万haにも及ぶ荒廃地が広がっており、土砂流出、飛砂、風蝕等による農業生産の低下、農地の縮小などの被害が広がっている。中流域の荒廃は下流域にも影響を及ぼしており、夏季の集中豪雨による洪水、冬季の少雨による流下水の消滅等の現象を発生させている。
     中国政府は1978年から中国内陸中西部および北部の植林を行う三北防護林造成計画を実施し、国土の緑化を行い、地域の生活環境の改善に努力しているところである。
     しかしながら、特に広大な荒廃地が広がる貧困地域においては、植林活動が進んでいないのが実態であり、黄土高原と砂漠に囲まれた貧困地域である寧夏回族自治区に関しても、砂漠化が進行し、風食、風砂による農牧業および住民生活への被害が深刻である。
     このような状況の下、中国政府は寧夏回族自治区における砂漠緑化を図る「黄河中流域保全林造成計画」を策定し、この計画の保全林の造成のための資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     この計画の実施により、4,269haの森林が造成され、寧夏平原の砂漠化地域における植生の回復、現地農牧民への技術普及、黄砂の飛散の抑制等が期待される。

    (2)「第二次環境情報ネットワーク整備計画」

     中国では、急速な経済発展に伴い、硫黄酸化物、窒素酸化物の排出量の増大、酸性雨被害の増大等の公害が深刻化している。これらの公害は、海を越え日本にも影響を及ぼす問題であり、地球的規模の環境問題と認識されている。
     このような環境問題に対処するには、法的規制、技術改良などが必要であるが、そのためにもまず正確かつ迅速なデータの収集および分析が必要である。また、環境問題は行政区画を越えて影響を与えるものであり、個々の市が別々に情報を所有しているより、それぞれが情報を共有し合うことが政策決定上重要である。
     このため日中両政府は、1997年9月の日中首脳会談において「21世紀に向けた日中環境協力」構想が提案され、国、省、市、県の各レベルの環境情報ネットワークの整備について日中双方努力していくことが話し合われた。
     これを踏まえ中国政府は、市レベルの環境情報センターのネットワーク整備に関する「環境情報ネットワーク整備計画」を策定し、この計画実施のための資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
     第二次環境情報ネットワーク整備計画は、中国政府から要請のあった100都市のうち、第一次計画で整備した39都市の残り61都市におけるLAN(構内情報通信網)構築等のためのコンピュータなどの機材供与および89都市における国家と都市を結ぶWAN(広域情報ネットワーク)構築に必要な衛星通信機材の供与を行おうとするものである。
     この計画の実施により、大気、水質等の調査結果の速やかな収集及び分析、情報の共有が可能となり、必要な環境政策の立案に資するものと期待される。

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