スーダンの「ポリオ撲滅計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成13年5月30日
- わが国政府は、スーダン共和国政府の「ポリオ撲滅計画(the Project for the Eradication of Poliomyelitis)」の実施に資することを目的として、国連児童基金(ユニセフ)に対し、2億7,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が5月30日(水)、ハルツームにおいて、わが方星彰在スーダン大使と先方トーマス・エクヴァル在スーダン・ユニセフ事務所代表(Mr.Thomas Ekvall, Representative, United Nations Children's Fund office in Sudan)との間で行われた。
- スーダンでは、長期化する内戦、低迷する経済状況のため、十分な保健医療サービスを受けることができず、更に旱魃やバッタ等による農作物への被害により恒常的に飢饉が発生しており、国民の栄養状況は悪化している。このため、乳児死亡率は出生1,000人に対し82人と、多くの子どもの生命が危機に直面している。
スーダンにおけるこのような人道的に無視できない状況に対処するため、国連諸機関、スーダン政府、反政府勢力の間で、援助機関による人道支援をより広範に実施可能とするスーダン生命線活動(OLS:Operation Lifeline Sudan)協定が1989年に締結された。ユニセフはWHO(世界保健機構)、スーダン政府、地元および国際NGO(非政府団
体)と協力しつつ、スーダン全国を対象に子どもの保健・医療分野での支援を実施している。その結果、経口ポリオをはじめとした6種のワクチンの摂取率は上昇してきているが、依然他の地域で撲滅した感染症の症例が少なからず報告されており、ポリオ撲滅の世界的目標達成および感染症の周辺国への伝播防止のためにも更なる対応の徹底が必須となっている。
このような状況の下、ユニセフはスーダン政府の「ポリオ撲滅計画」に協力して全国約550万人の5歳以下の乳幼児を対象とするNIDを実施するために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- わが国政府は、スーダンにおける人権侵害状況に鑑み、1991年10月より緊急・人道的性格の援助を除き原則として対スーダン援助を停止しているが、今次協力は、緊急・人道的性格の援助にあたるものである。