国別地域別政策・情報 国別約束(年度別交換公文(E/N)データ)

フィリピンに対する円借款の供与について

平成13年3月30日

  1. わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、同国の経済社会開発努力を支援するため、第24次(平成12年度、9案件)分として、546億4,200万円までの円借款を供与することとし、このための書簡の交換が3月30日(金)、マニラにおいて、わが方荒義尚在フィリピン大使と先方ギンゴナ副大統領兼外務長官との間で行われた。なお、本円借款は、昨年6月19-20日にフィリピンのタガイタイで開催された対比支援国会合において意図表明されたものである。

  2. 今次円借款の概要

     今次円借款においては、わが国の対フィリピン国別援助計画(昨年8月策定)に言及されている4つの重点分野のうちの3分野(持続的成長のための経済体質の強化および成長制約的要因の克服、格差の是正(貧困緩和と地域格差の是正)、環境保全および防災対策)における次の諸案件に対する支援を行うこととなっている。

    【供与限度額】

    (1)幹線道路網整備計画(V) 82億9,400万円
    (2)メトロマニラ立体交差建設計画(V) 55億4,300万円
    (3)幹線空港開発計画(II) 117億4,300万円
    (4)地方道路網整備計画(III) 62億500万円
    (5)カトビッグ農業総合開発計画 52億1,000万円
    (6)ミンダナオ持続的入植地開発計画 65億1,500万円
    (7)アグノ川洪水制御計画(II-B) 27億8,900万円
    (8)ラオアグ川治水・砂防計画 63億900万円
    (9)北部パラワン持続可能型環境保全計画 20億3,400万円

  3. 供与条件

    (1)金利

      通常金利:年2.2%(上記2.(1)~(6)の本体部分)
    通常環境案件金利:年1.7%(上記2.(7)および(8)の本体部分)
    特別環境案件金利:年0.75%
    (上記2.(9)の本体および(1)~(9)のコンサルタント)

    (2)償還期間

      通常案件および通常環境案件の本体部分: 30年
    (10年の据置期間を含む)
    (上記2.(1)~(8)の本体)
      特別環境案件部分(事業本体およびコンサルタント): 40年
    (10年の据置期間を含む)
    (上記2.(9)の本体およびコンサルタント)

    (3)調達条件

      通常案件および通常環境案件の本体部分:一般アンタイド
    (上記2.(1)~(8)の本体および(9)のコンサルタント)
    特別環境案件部分(事業本体):二国間タイド(上記2.(9)の本体)
    特別環境案件部分(コンサルタント):二国間タイド
    (上記2.(1)~(8)のコンサルタント)

  4. 今回の書簡の交換により、1968年以降フィリピンに供与された円借款の総額は、交換公文ベースで2兆371億3,400万円(うち同国に対する円借款に関する債務繰延額は1,460億6,600万円)となる。


対フィリピン第24次円借款
(案件概要)

  1. 幹線道路網整備計画(V)【供与限度額:82億9,400万円】
     主要幹線国道を構成する南北幹線道路、東西幹線道路、島嶼部周回道路を整備することにより、物流の効率化を促進し、地方経済の振興を図らんとするもの。

  2. メトロマニラ立体交差建設計画(V)【供与限度額:55億4,300万円】
     渋滞が深刻化するマニラ首都圏において、特に混雑が著しい主要交差点での立体交差施設を建設することにより、交通渋滞の緩和、物流の効率化、沿道地域の居住環境改善を図らんとするもの。

  3. 幹線空港開発計画(II)【供与限度額:117億4,300万円】
     新バコロド空港の建設およびタクロバン空港の拡張を行い、航空輸送の安全性を高め、今後予想される旅客・貨物需要の急激な増加に対応せんとするもの。

  4. 地方道路網整備計画(III)【供与限度額:62億500万円】
     ルソン島、ロンブロン島、パナイ島、ミンダナオ島における11州にて、幹線道路と地方市町村を結ぶ2級国道等の質的拡充(舗装率の改善)を図るため、2級国道および戦略的重要道路の改良工事を行い、交通の安全・確実性の向上、物流の効率化、ひいては地域開発促進を図らんとするもの。

  5. カトビッグ農業総合開発計画【供与限度額:52億1,000万円】
     北サマール州中東部のカトビッグ・バレーにおいて、灌漑、排水路等の施設整備、営農指導、上水道整備等を行う一方、国道・州道等の整備を行い、農業生産基盤の安定と農民の収入増大を図るとともに、保健衛生環境の改善を図らんとするもの。

  6. ミンダナオ持続的入植地開発計画【供与限度額:65億1,500万円】
     ミンダナオ島に位置する農業改革省所轄の入植地につき、インフラ整備、組織開発、農作物生産支援、上水道、保健サービス、学校建設、環境保全等から成る総合的開発を行うことにより、農業生産性の改善および農家の生計向上を図り、ミンダナオ地域の貧困緩和と持続的発展に貢献せんとするもの。

  7. アグノ川洪水制御計画(II-B)【供与限度額:27億8,900万円】
     パンガシナン州、タルラック州において、自然遊水池を洪水調整用として整備するための放水路の建設や、河川改修工事を行うことにより、洪水被害を軽減し、生活環境の向上を図らんとするもの。併せて、遊水池内の防災基盤の整備、生計向上策等を行うもの。

  8. ラオアグ川治水・砂防計画【供与限度額:63億900万円】
     イロコスノルテ州において、ラオアグ川の堤防建設等の河川改修工事、中流部扇状地河川の改修工事および砂防ダムの建設を行うことにより、洪水被害を軽減し、生活環境の向上を図らんとするもの。

  9. 北部パラワン持続可能型環境保全計画【供与限度額:20億3,400万円】
     北部パラワンにおいて、環境ゾーニング(環境に配慮した土地利用計画)の策定および実施支援、土壌流出防止工事、環境持続型観光(エコ・ツーリズム等)の計画および実施を支援することにより、同地域の持続的な環境保全を図らんとするもの。