
モロッコの「南部地域飲料水供給計画」に対する無償資金協力について
平成13年3月30日
- わが国政府は、モロッコ王国政府に対し、「南部地域飲料水供給計画」(projet d'approvisionnement en eau potable dans les provinces du sud)の実施に資することを目的として、4億2,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月30日(金)ラバトにおいて、わが方佐藤裕美在モロッコ大使と先方ブーアモール・タグーアン設備大臣(BOUAMOR TAGHOUAN, Ministre de l'Equipement)との間で行われた。
- モロッコでは農村地域の給水施設整備が遅れており、これら地域住民の約86%は質・量共に劣悪な給水状況に置かれている。そのため、農村地域住民の間では水因性疾病が多発しているほか、伝統的に児童が水汲みの労働力となっているため、児童の就学率向上においても支障を来している。更に、このような劣悪な生活環境のため、村落からの人口流出が続き、同国農村地域の社会・経済発展に大きな障害となっている。同国政府は、このような状況を改善すべく、2010年までに地方給水率を80%にする目標を掲げた全国地方給水のための基本計画を策定し事業化を推進してきているが、同国の劣悪な財政状況などから、特に南部地域における村落を対象とした計画の実施が大幅に遅れている。
このような背景から、モロッコ政府は、給水率が劣悪であり且つ緊急性の高い南部3県137村落を対象とする「南部地域飲料水供給計画」を策定し、この計画で必要な給水施設建設および維持管理資機材の調達のための資金につき、わが国政府に対して無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、対象3県の給水施設普及率が向上すると共に、水汲みに要する時間が大幅に短縮される(水汲みに要する時間は現在の平均3.2時間から数十分に短縮)。こうした効果により、住民の保健衛生が改善されると共に、水汲みに使用していた時間を子女の教育など他の経済社会活動にあてることができ、住民の経済・社会生活環境の向上が期待される。