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シリアの「種子生産能力向上計画」に対する無償資金協力について

平成13年1月19日

  1. わが国政府は、シリア・アラブ共和国政府に対し、「種子生産能力向上計画 (Project for Improvement of Seed Multiplication Capacity)」の実施に資することを目的として4億7,800万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月18日(日本時間19日)、ダマスカスにおいて、わが方天江喜七郎在シリア大使と先方イサーム・ザイーム企画担当国務大臣(Dr. Issam El-Zaim, Minister of State for Planning Affairs)との間で行われた。

  2. シリアでは、農業は国内総生産(GDP)の約26%を占める主要産業であり、高い人口増加率の問題を抱えるシリア政府にとって、国民への安定的な食糧の供給を維持するためにも、農業開発が重点項目とされている。
     特に、小麦は国民の主食として全耕地面積の約35%を占める主要作物であり、更なる増産が最も期待されている作物である。しかし、既存の小麦用種子処理施設が老朽化により能力が低下しており、小麦の種子の供給に悪影響を与えている。とりわけ、小麦生産の盛んなアレッポおよびイドリブ県では、供給率が40%と全国レベルを大きく下回っており、早急な対策が必要とされている。
     また、近年生産が拡大しているジャガイモについては、種イモ生産は10年前より研究栽培が開始されたものの、一般農家に配給するための十分な施設が整っていないため、毎年約7,000トンもの種イモを輸入している。そのため、農民への種イモ供給がその供給国の作況に左右される他、政府には貴重な外貨の多大な負担を強いている。
     このような状況の下、シリア政府は「種子生産能力向上計画」を策定し、この計画の実施のための小麦処理施設とジャガイモ組織培養施設用の機材の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

  3. この計画は、二期に分け実施される予定であり、今回は先ず小麦処理施設用機材を供与することにより、アレッポおよびイドリブ県での小麦種子の供給率が全国平均並みの約57%に向上し、小麦自給率の向上と安定的な農家収入の増加が期待される。
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