平成13年1月18日
わが国政府は、タンザニア連合共和国政府に対し、「マクユニ・ンゴロンゴロ間道路整備計画(詳細設計)」に資することを目的として、また「食糧援助」および「債務救済のための無償援助」のために、総額6億9,250万6,000円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月18日(木)、ダルエスサラームにおいて、わが方佐藤啓太郎在タンザニア大使と先方ピーター・ングンブル大蔵次官(Mr. Peter J Ngunmbullu, Permanent Secretary, Ministry of Finance)との間で行われた。
1.「マクユニ・ンゴロンゴロ間道路整備計画(詳細設計)」 (the Project for Makuyuni・Ngorongoro Road Rehabilitation) |
9,000万円 |
2.「食糧援助」 (Food Aid) |
5億円 |
3.「債務救済のための無償援助」 (Grant Aid for Debt Relief) |
1億250万6,000円 |
(参考)
1.「マクユニ・ンゴロンゴロ間道路整備計画(詳細設計)」
タンザニアのマクユニ・ンゴロンゴロ間道路は、アルーシャからドドマ方面へ南西に延びる幹線道路上をマクユニに分岐し、世界遺産に登録されているンゴロンゴロ自然保護区(マニャラ湖、ンゴロンゴロ・クレーターおよびセレンゲッティ等の有名な国立公園を含む)の入口まで延長約77kmに及んでいる。その悪路にもかかわらず、この国立公園に世界中から訪れる観光客は後をたたない。同地域への訪問者数は、99年実績でアルーシャ州の観光客数の54%を占めており、これはタンザニア全体の32%を占めている。
また同道路の位置するアルーシャ州は、ダルエスサラームに次いで経済活動の盛んな地域のひとつであり、主食メイズおよび小麦等についても全国有数の農業生産地である。このほか牛・羊・山羊の飼育頭数も全国第1位を記録している。このため、同道路はムブルやオルデアニ等の農村部からアルーシャ市への農産物の輸送にも使用されている。
こうした経済発展の可能性を有しているにもかかわらず、政府予算の不足から長期間十分な維持管理がなされてこなかったため、同道路は雨期には通行不能になるため、道路としての十分な機能を発揮していない。
このためタンザニア政府は「マクユニ・ンゴロンゴロ間道路整備計画」を策定し、この計画のための詳細設計に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、降雨により現在は年約30日の通行困難日数があるが、これが解消でき、通年交通が確保できる。また、マクユニからンゴロンゴロまでの移動時間が大幅に短縮でき、輸送費も低減できる。これにより、同地域の経済・社会開発に大きく寄与することが期待される。
2.「食糧援助」
タンザニアでは、干ばつや病害虫等の被害により食糧不足が生じており、同国農業省の推定によると、本年についても穀物不足が見込まれている。
このため同国政府は、国内の備蓄穀物を放出するとともに、自らの予算で緊急に食糧の輸入を進めているが、予算不足からなお食糧不足を解消することができない状況にある。
このような状況の下、タンザニア政府は、食糧の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
3.「債務救済のための無償援助」
この無償資金協力は、タンザニア政府が1998年3月31日までにわが国政府と行った円借款取決めに従って締結された借款契約に基づき負っている債務のうち、平成12年度第2四半期に返済期限の到来した元本および約定利息のうちの実際の返済額に相当する額を供与するもので、債務救済措置の一つである。
この無償資金協力により贈与する資金は、タンザニアの経済の発展と国民福祉の向上のために必要な生産物等の購入のために使用される。
国連貿易開発会議特別貿易開発理事会においては、多くの開発途上国が深刻な債務返済問題に直面していることから、先進諸国がこれらの開発途上国に対する過去の二国間政府開発援助(ODA)の条件を調整する措置、またはその他同等の措置を取るよう努力すべき旨の決議が採択された。今回の無償資金協力は、こうした決議に鑑み、これら開発途上国とわが国の友好協力関係を強化することを目的として、わが国の無償資金協力の一環として実施するものである。