国別地域別政策・情報 国別約束(年度別交換公文(E/N)データ)

セネガルの「カヤール水産センター建設計画」ほか3件に対する無償資金協力について

平成13年1月18日

 わが国政府は、セネガル共和国政府に対し、「カヤール水産センター建設計画」、「母子保健強化・マラリア対策計画」、「沿岸地域植林計画(詳細設計)」および「食糧援助」として、総額12億900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月16日(火)ダカールにおいて、わが方古屋昭彦在セネガル大使と先方マクタール・ディオップ経済・大蔵大臣(Makhtar DIOP, Ministre de l'Economie et des Finances)との間で行われた。

  1. 「カヤール水産センター建設計画」
    供与限度額:5億3,500万円

  2. 「母子保健強化・マラリア対策計画」
    供与限度額:3億9,000万円

  3. 「沿岸地域植林計画(詳細設計)」
    供与限度額:3,400万円

  4. 「食糧援助」供与限度額:2億5,000万円

(参考資料)

1.「カヤール水産センター建設計画」
 (le projet de construction d'un complexe de peche a Kayar)

 セネガルでは、漁業は国民への重要な動物性タンパク質を供給するのみならず、雇用機会の提供等同国経済を支える重要な産業であり、漁業の開発・振興が国家開発計画の優先項目の一つとなっている。同国北部沿岸海域には、漁業の盛んな地域として存在しているが、水産基盤整備が不十分なため、漁業振興が図られていない。
 カヤール地域は北部地域で最も漁業が盛んな地域の一つであり、首都ダカールから約60kmに位置することから、水産物の需要ニーズが高い地域であるが、基盤整備が不十分なため、水産物流通の発展に支障を来している。
 このような状況の下、同国政府は、北部カヤール地域における零細漁業の振興および漁村振興の発展を目的とする「カヤール水産センター建設計画」を策定し、この計画のための水産流通施設、水産加工施設、漁民支援施設等の建設に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
 この計画の実施により、約120万人の消費者に鮮度の高い水産物が供給されることが期待できる。

2.「母子保健強化・マラリア対策計画」
 (le projet de renforcement de la sante maternelle et infantile et de la lutte contre le paludisme)

 セネガル政府は、保健・医療政策に関して国家開発政策を策定し、乳幼児死亡率、妊産婦死亡率等の引き下げを優先的事項と位置づけ、ユニセフ、世界保健機構(WHO)、国連人口基金(UNFPA)等の援助を受けつつ積極的に推進して来ている。
 しかしながら、同国政府の積極的な保健・医療政策推進にもかかわらず、保健・医療指標は、5歳未満児の死亡率が1,000人当たり117人(99年、サハラ以南のアフリカの平均173人(98年))、乳幼児死亡率は1,000人当たり63人(99年、同平均107人(98年))と必ずしも良い状態ではない。その理由としては、同国ではマラリア、ポリオ、破傷風、B型肝炎等の感染症および急性呼吸器疾患等の罹患率が高い上、厳しい緊縮財政のため、政府もマラリア対策資機材および予防接種関連資機材の不足・老朽化等に対処しきれず、予防接種率が低迷状況にあることが挙げられる(1990-98年における1歳児の完全に予防接種を受けた比率は、結核80%、3種混合65%、ポリオ65%、麻疹65%、妊婦の破傷風予防接種率は34%)。
 このような背景の下、同国政府は、予防接種体制およびマラリア対策体制整備を目的として、「母子保健強化・マラリア対策計画」を策定し、この計画に必要な冷蔵庫、車輌等の予防接種関連機材および蚊帳等のマラリア対策機材等の購入のための資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
 この計画の実施により、同国の予防接種体制が整備・強化されるとともに、約20万世帯(約100万人)に対するマラリア対策(蚊帳の配布)を可能にすることが期待されている。なお、この計画で調達される蚊帳については、同国政府が自立して継続的なマラリア対策を推進する観点から、住民には有償で配布され、その売却益は見返り資金として積み立てられた後、わが国政府と協議の上、蚊帳の新規調達等に使用されることになっている。

3.「沿岸地域植林計画(詳細設計)」
 (le projet de reboisement de la zone du littoral)

 セネガルの北西部海岸沿いのニャイ地域は、土壌が肥沃で地下水位が高いなど農業生産条件が良好な砂丘間の窪地を利用し、国内の野菜総収穫量の約8割を生産する重要な農業生産地域である。一方、セネガルは砂漠化の影響を強く受ける西アフリカサヘル地帯の南西端に位置しており、統計では1980年代には毎年3,500km2の森林が減少し、わずか10年間で9.2%の森林が消失したといわれており、ニャイ地域においても、今世紀半ば以降、海岸砂丘の移動に伴い、農地面積は徐々に減少し、畑作に大きな影響を与えている。
 この状況に対処するため、同地域においては以前から、海岸砂丘固定のため約1万2,000haの海岸林が造成され、これにより5万haの農地が保全されてきているが、未だ約1万5,000haの活動の活発な移動砂丘、荒廃地が存在し、これを放置すれば新たに農地が砂に埋もれてしまうのみならず、今まで造成してきた森林までをも衰退させてしまう惧れがある。
 このためセネガル政府は、海岸砂丘を固定し、海岸の農業地帯を安定した地域とすることを目的とした砂丘固定林等の造成のための「沿岸地域植林計画」を策定し、この計画のための詳細設計に必要な資金につきわが国政府に対し無償資金協力の要請をしてきたものである。

4.「食糧援助」

 セネガルは、サヘル地域に属しており、降雨が不規則な上に降雨量も減少していることから近年砂漠化が進行し、耕作地が減少しているため、食糧生産に大きな影響が出ている。加えて、害虫・鳥害等による被害のため、食糧生産は低迷している。そのため、政府は肥料による生産性の向上、害鳥・害虫等の駆除強化、農民に対する農業機械の供与等により食糧生産の向上に努めているが、高い人口増加(約3.0%)により増大する食糧需要に食糧生産が追いつかず、深刻な食糧不足が続いている。
 このような状況下、セネガル政府は食糧不足に伴う米の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

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