
パキスタンに対する無償資金協力「ポリオ感染拡大防止・撲滅計画」に関する書簡の交換
平成26年11月17日
- 本17日(現地時間同日),パキスタン・イスラム共和国の首都イスラマバードにおいて,我が方猪俣弘司駐パキスタン大使と先方アンジェラ・ケニー国連児童基金(UNICEF)パキスタン代表(Ms. Angela Kearney, UNICEF Representative in the Islamic Republic of Pakistan)との間で,5億6,200万円の一般プロジェクト無償資金協力「ポリオ感染拡大防止・撲滅計画」(The Project for the Control and Eradication of Poliomyelitis)に関する書簡の交換が行われました。
- パキスタンは,世界的にもポリオ発症件数が多く,現在世界で3か国残るポリオ常在国(他はナイジェリア,アフガニスタン)の1つです。我が国は1996年から同国におけるポリオ撲滅に向けた支援をUNICEFと協力して継続的に行っているほか,2011年8月には約50億円の円借款を供与しています。我が国を含めた国際社会によるこれらの支援により,同国のポリオ発症件数は1995年には年間500件以上でしたが,2012年には58件まで減少しました。
- しかし,その後反政府武装勢力によるワクチン接種活動への妨害等により,アフガニスタンとの国境周辺の一部地域ではワクチン接種活動が実施できず,さらに,本年6月より同地域で開始された軍事作戦に伴い,ワクチン接種を受けていない住民が避難民として周辺地域に拡散しています。こうした状況を背景に,近年,同国ではポリオの発症が増加しており(2013年は93件),引き続きポリオ撲滅に向けた国際的な取組が必要とされています。
- この計画は,ポリオ発症が確認された際に,更なる感染拡大を防ぐための緊急的な活動に必要な経口生ワクチン(OPV)及びOPVとの併用で免疫効果をより高めることができる不活化ワクチン並びにワクチン保冷機材等を調達するために必要な資金を供与するものです。本計画の実施により,ポリオの発症例が多いアフガニスタンとの国境周辺地域(ハイバル・パフトゥンハー州,連邦直轄部族地域)を中心に同国における感染拡大の防止が期待されます。
(参考)
- パキスタン・イスラム共和国は,面積約79.6万平方キロメートル,人口1億8,435万人(2012/2013年度,パキスタン経済白書),1人当たりのGNI(国民総所得)1,380米ドル(2013年,世界銀行)。
- 2011年度対パキスタン円借款「ポリオ撲滅計画」:ポリオワクチン調達及び接種キャンペーンの実施を支援するもの。パキスタン政府による一定の事業成果の達成をもって,ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation。マイクロソフト社創始者ビル・ゲイツ氏らが設立)が,同国政府に代わり本件円借款の返済を行うローンコンバージョン方式を採用。2014年4月に事業成果の達成が確認され,同財団からの返済が開始された。