平成25年3月14日
- 本14日,東京において,日・スリランカ首脳会談の後,我が方粗信仁駐スリランカ国大使と先方カランナーゴダ駐日スリランカ大使(H.E. Mr. Wasantha Kumar Jayadewa Karannagoda, Ambassador Extraordinary and Plenipotentiary of the Democratic Socialist Republic of Sri Lanka)との間で,総額411億700万円を限度とする下記4件の円借款に関する書簡の交換が行われました。
- 対象案件の概要,背景,期待される効果は以下のとおりです。
- (1)大コロンボ圏送配電損失率改善計画(159億4,100万円)
スリランカでは,近年の年平均7%の経済成長に伴いエネルギー需要が増加していますが,大規模な電源開発が進む一方,送配電損失率の改善と送配電容量の増強が課題となっています。この協力により,コロンボ都心部に地中送配電線を整備することで,首都圏で年間約24,000メガワット時の送配電損失量の削減が可能になります。また,送配電による電力損失を削減し,年間約1万7,663トンのCO2削減効果が期待されます。
- (2)国道主要橋梁建設計画(123億8,100万円)
スリランカでは,幹線国道上にある主要な橋梁2,000梁のうち,建設から100年以上経過した橋梁が3分の1以上を占めているにもかかわらず,老朽化した橋梁の整備が進んでいません。この協力により,全国主要幹線国道の橋梁のうち,特に緊急性・優先度が高い,橋長が30メートル以上の橋梁を整備することで,同国の国内物流の95%を占める全国の道路輸送が円滑になり,物流の活性化が促進されることが期待されます。 この計画は,我が国の優れた技術を活用して実施されるものです。
- (3)国道土砂災害対策計画(76億1,900万円)
スリランカでは,毎年発生する豪雨による大規模洪水等,様々な自然災害が発生しています。中でも,同国中央部の7県では,2007年1月から2012年7月の間の豪雨による土砂災害発生数が700回を超えています。この協力により,特に土砂災害の危険性が高い山岳地域の国道で,スリランカ初の本格的な地滑り対策工事などの斜面の土砂災害対策を行うことで,各対象箇所での土砂災害による道路封鎖の日数が現在の1.75日(年平均)から0日(年平均)に減少し,近隣7県の住民の生活及び同地を訪れる観光客への道路の利便性が向上することが期待されます。
- (4)アヌラダプラ県北部上水道整備計画(フェーズ1)(51億6,600万円)
アヌラダプラ県北部では,住民は飲料水を深井戸や浅井戸に頼っていますが,井戸水として使用される地下水はフッ素に汚染されており,住民の間にはフッ素症による健康被害が見られます。この協力により,アヌダラプラ県北部に表流水を水源とする浄水場を新設することで,同地域で安全な水にアクセスできる人口が,現在の約2,700人から,約6万1,000人に増加するほか,安全な表流水を水源とする水道普及率が0%から55%へ増加することが期待されます。
- 供与条件
案件名 |
金利 |
償還(据置)期間 |
調達条件 |
(1)大コロンボ圏送配電損失率改善計画 |
0.3% |
40(10)年 |
一般アンタイド |
(2)国道主要橋梁建設計画 |
0.2% |
40(10)年 |
STEP(タイド) |
(3)国道土砂災害対策計画 |
1.4% |
25(7)年 |
一般アンタイド |
(4)アヌラダプラ県北部上水道整備計画 |
1.4% |
25(7)年 |
一般アンタイド |
- なお,大コロンボ圏送配電損失率改善計画は我が国の2013年以降の気候変動対策に関する途上国支援の一環として実施するものです。我が国は,すべての国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築に向け,スリランカと引き続き気候変動分野で連携していきます。
(参考)
- スリランカはインド洋に位置する国であり,面積約6万5,607平方キロメートル,人口2,028万人(2012年3月)であり,人口1人当たりのGDP(国内総生産)は約2,836米ドル(2011年)。
- 案件位置図・写真(PDF)

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